悔し涙、糧に 聖光学院初戦敗退 佐藤主将 後輩の成長願う 夏の甲子園
11日の第106回全国高校野球選手権大会1回戦で1―2で敗れた福島県代表の聖光学院は、好投手を擁する鶴岡東(山形)にわずかに及ばなかった。主戦高野結羽(ゆう)は11奪三振と粘り強く投げ、打線は相手を上回る9安打。東北勢対決に屈し、選手たちは泣き崩れた。主将の佐藤羅天(らま)は「来年こそは勝ち進んでくれると信じている」と後輩に託した。 鶴岡東とは昨年秋以降、練習試合で3回対戦し、いずれも敗北していた。「今までの悔しさを甲子園で晴らす」。ナインは気持ちを高ぶらせて試合に臨んだ。 三回に2点を失い、追いかける展開となった。チャンスであと一本が出ず、得点できない重苦しい雰囲気に包まれていた。 風向きが変わったのは八回。高野の代打で入った村上広樹の安打を機に1点を返した。九回には代打鈴木颯太が出塁した。続いて佐藤がバッターボックスに立った。「来た球を振り抜くだけだ」と真ん中低めの直球に無心で反応。打球は左翼に落ち、1死一、二塁とした。長打が出れば逆転サヨナラの場面に会場の熱気は最高潮に達したが、後続は併殺打に倒れた。
試合後、宿舎に戻った佐藤は集まった部員に「みんながいたからここまで来られた。本当にありがとう」と声を震わせながら感謝の言葉を伝えた。 チームで唯一2年生として出場した菊地政善は「自分が先頭に立ち、必ず春夏の甲子園に戻ってくる」と静かに闘志を燃やした。