ジョーとフミオ、生き残るのはどっちだ。日米首脳会談成功も前途は2人とも多難
バイデンが間違えないか心配だった
日米首脳会談で筆者が最も心配していたのは検察当局から「記憶力が衰えている」と認定されたジョー・バイデン米大統領が、岸田文雄首相のことを間違えて「シンゾー!」などと呼びはしないだろうかという事であった。 それに米国人にとって「フミオ」という名前は発音しにくいらしく、同じ「フミオ」である筆者も米国駐在中「ヒューミオウ」とか「シュミオ」などと呼ばれていたので、バイデン氏がちゃんと「フミオ」と呼んでくれるのか心配だった。 だが同行したフジテレビの瀬島記者のリポートによれば、会談の冒頭、両者は無事、「フミオ」「ジョー」と呼び合い、親密さをアピールしたという。良かった。 両首脳は日米が安全保障や経済など、あらゆる分野で新時代の同盟を目指す「未来のためのグローバルパートナー」と題した共同声明を発表、また互いの友情も確認し、会談は成功のうちに終わった。 以前、外務官僚から「岸田氏は実は英語がうまい」と聞き、「ウソだろ」と疑っていたのだが、議会演説も、晩餐会での挨拶も中身もよかったが何より発音がきれいで感心した。 友情を確認したフミオとジョーだが、2人の「政治的前途」はともに多難である。 米国では11月に大統領選を控え、ドナルド・トランプ前大統領との接戦が伝えられる中で、バイデン政権内には、今回の岸田氏の訪問受け入れに慎重な意見もあった。そんなことやってる場合かと。まあ普通はそう思うわな。
トランプ再登場に不安
ところで共同通信が7日に「もしトラに不安凝縮。米紙、日本で流行と紹介」という面白い見出しの記事を出した。 これはアメリカの新聞「ワシントンポスト」の電子版が出した記事なのだが、「もしトラ」になって、米国が再び自国第一主義に傾けば同盟関係に不確実性が増すため、日本人が「ハラハラするのはやむを得ない」ということらしい。 さらに「中国や北朝鮮など差し迫った安全保障上の懸念に対するトランプ氏の型破りな姿勢に、日本の指導者や官僚たちは第2次トランプ政権が何をもたらすか心配している」という。 でもそれは違うと思う。日本にとってはしょせん他人事。それに8年前も当時の安倍晋三首相が「駐留米軍撤退」などと訳のわからないことを言い出したトランプ氏をうまく説得したし、今回も何とかなるんじゃないかと、我々日本人は高をくくっているのではないか。 本当に心配しなければいけないのはアメリカ人だろう。特に民主党の政策を支持してきたリベラル系の人たち。そしてトランプ氏を毛嫌いするメディアの人たちなのだ。 岸田氏としてもジョーと仲良くはしても、ドナルドとの両にらみであることは間違いなく、さすがに今回トランプ氏と会うことはしなかったが、もし11月にトランプ氏が勝ったら、安倍氏の真似をして直ちにNYのトランプタワーに行った方が良いと思う。 岸田氏は帰国後、後半国会では政治資金規正法の改正に取り組む。経済が上向けば9月の総裁選での再選を目指し、その前に解散するとの見方もあるが、4/28の衆院3補選で全敗すれば「岸田おろし」になると言う人もいる。