米司法省、トランプ次期大統領暗殺計画に関与の男を起訴 イランの指示か
アメリカ政府は8日、ドナルド・トランプ次期大統領を大統領選前に暗殺するというイランの陰謀疑惑に関わったとして、アフガニスタン国籍の人物を起訴した。 司法省は8日、ファラド・シャケリ被告(51)に対する起訴状の非公開扱いを解除。シャケリ被告は、トランプ氏を暗殺するための「計画の提供」を命じられたとされている。 アメリカ政府は、被告は逮捕されておらず、イラン国内にいる様子だと発表した。 メリック・ガーランド司法長官は声明で、「イラン政府から、犯罪者グループのネットワークを指揮するよう命じられた協力者を、司法省は起訴した。この犯罪者グループは、ドナルド・トランプ次期大統領を含む複数人を標的に、イランの暗殺計画遂行を意図している」と述べた。 司法省はこのほか、イランを公然と批判するアメリカ人ジャーナリストを殺害するためにイランに雇われたとされる2人も起訴した。 この2人の氏名は、ニューヨーク・ブルックリン在住のカーライル・リベラ被告(通称「ポップ」、49)と、ニューヨーク・スタテン島在住のジョナサン・ロードホルト被告(36)と公表された。 2人は7日、ニューヨーク南部地区の連邦地裁に出廷。公判まで拘束されることとなった。 トランプ次期大統領は今年、2件の暗殺未遂事件にあっている。7月にはペンシルヴェニア州での集会中に銃撃され、耳を負傷した。 9月には、ウェストパームビーチのでゴルフをしていたトランプ氏に、ライフルを向けた男が逮捕された。 ■イラン革命防衛隊の幹部が依頼か ニューヨーク市マンハッタンにある連邦地裁に提出された刑事告訴状によると、シャケリ被告は9月、イラン革命防衛隊の幹部から、トランプ次期大統領を7日以内に殺害する計画を立てるよう依頼されたという。 検察によると、シャケリ被告は取り調べに対して、自分は7日以内に殺害計画を提案するつもりがなかったため、イラン革命防衛隊の幹部はこの計画を保留にしたのだと供述した。 シャケリ被告はまた、イラン政府はトランプ氏が大統領選に敗れるとみていたため、暗殺は選挙後の方が簡単だと述べたと供述したという。 シャケリ被告はアフガニスタン国籍で、幼少期にアメリカに移住した。過去にアメリカ国内で強盗罪で有罪となり、14年間服役した後、2008年頃に国外追放された。 同被告は、リベラ被告やロードホルト被告を含む「犯罪者ネットワーク」を刑務所内から駆使し、イラン政府が標的する人物を監視していたという。 検察によるとシャケリ被告は、イラン政権の人権侵害と汚職について報道していたアメリカ人ジャーナリストを殺害するため、リベラ被告とロードホルド被告に10万ドルを約束した。このジャーナリストの名前は公表されていないが、過去にも狙われたことがあるという。 ブルックリン在住のジャーナリスト、マシ・アリネジャド氏は8日、自分に対する殺害計画を立てていたとして、米連邦捜査局(FBI)が男2人を逮捕したとソーシャルメディアに投稿した。アリネジャド氏によると、容疑者らはブルックリンの自宅前まで来ていたことがあったという。 アリネジャド氏は、「私は言論の自由という憲法修正第1条の権利を行使するためにアメリカに来た。私は死にたくない。」と書いた。「私は専制政治と戦いたい。そして、私は安全であるべきだ」。 起訴状によると、イラン政府はアメリカ人ジャーナリストとトランプ次期大統領に加え、ユダヤ系アメリカ人実業家2人の暗殺を企てていたという。この2人はニューヨーク在住で、イスラエルを支持するソーシャルメディア上の発言で知られていた。 シャケリ被告は検察に対し、パレスチナ・ガザ地区のイスラム組織ハマスによるイスラエル攻撃から1年後の今年10月に、スリランカでイスラエル人観光客を標的とした銃撃事件を計画するよう、イラン関係者から依頼されたと供述した。 シェケリ被告、リベラ被告、ロードホルト被告の3人は、殺人依頼を請け負った罪で起訴されており、最長で禁錮10年となる可能性がある。また、最高で禁錮20年となるマネーロンダリング(資金洗浄)の共謀罪と、依頼された殺人に関する共謀の罪にも問われている。 (英語記事 US charges man over alleged Iranian plot to kill Trump)
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