「トランプ氏再選」になればブリンケン氏の努力は今年だけのもの 米国務長官が南米歴訪
ジャーナリストの佐々木俊尚が2月21日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。米ブリンケン国務長官の南米歴訪について解説した。
米ブリンケン国務長官が南米歴訪
アメリカのブリンケン国務長官は2月20日からブラジルとアルゼンチンを訪問する。両国指導者との会談の他、ブラジルが議長国を務めるG20外相会議に出席する。 飯田)今年(2024年)のG20はブラジルが議長国です。日本からも上川大臣が20日未明に出発しました。
イスラエルのガザ侵攻で崩れる「西側諸国対ロシア」の構図
佐々木)アメリカの立場は難しくなっています。ウクライナ侵攻をめぐって、「ロシア・中国vs西側諸国」というような構図になっている。南米やアフリカ、東南アジアなどのグローバルサウスと言われる国が若干、中立寄りだったので、そこをG7寄りに引き込もうというのがアメリカの戦略でした。しかし去年(2023年)10月、ハマスとイスラエルの間で対立が起きた。もともとはハマスがイスラエルを襲撃し、それにイスラエルが対抗してガザに戦争を仕掛けるという事態でしたが、そこから「西側諸国対ロシア」という構図が崩れてきてしまったのです。 飯田)そうですね。 佐々木)もちろん、イスラエルがハマスの攻撃に対して反撃するのは正当だと思うけれど、やり過ぎて何万人も亡くなり、しかも大半が女性や子どもです。国際社会のなかではイスラエルに対する批判が高まっています。それでもアメリカ国内にユダヤ人がたくさんいることもあり、イスラエルに対する支持は決して覆せない状況がある。先日、アルジェリアが国連で停戦決議案を提出しましたが、アメリカが拒否権を行使して否決されました。日本は賛成しましたが、アメリカは4回拒否権を発動しているのですよね。
アメリカへの批判が強まるなか、どこまでG20諸国のウクライナ支援を取り付けられるか
佐々木)「アメリカはあれだけ人を殺しているイスラエルの味方をするのか」という批判が、いま国際社会のなかで高まっています。停戦決議案の否決に対して、ロシアの国連大使が「アメリカの拒否権によって多くのガザ住民の運命が破滅に追いやられる」と批判しています。「あなたには言われたくない」という感じですが。 飯田)ウクライナで同じことをしているのに。 佐々木)でも明らかにアメリカの分が悪く、ロシアの批判の方が正しく見えてしまう。ウクライナ問題で逆転し、アメリカへの批判が高まっている状況で、ウクライナへの支援自体もだんだん揺らいでいます。南米やアフリカなどの支援も取り付けられない可能性もある。そのため、ここでブリンケン氏がG20に出席し、南米に行くことが大事なのでしょう。イスラエル問題にしても、ウクライナ問題にしても、「どこまでG20諸国の支援を取り付けられるのか」が重要なポイントになります。一方で難しいのが、ブリンケン国務長官はいまのバイデン政権の国務長官、いわゆる外務大臣なわけです。