三笘薫、ドリブラーとしての「特殊能力」を発揮 チェルシーでもやっていけることを証明した
三笘の場合、下を向かず、十分な視野を保ちながら、それをする。旧型のドリブラーはドリブルを始めると、独自の世界に入り込みがちだ。真ん中のドリブルはなおさらだ。難易度が高いため、ついボールを見てしまうのだ。その分、周囲の自軍選手とのコミュニケーションが取りにくくなる。周囲もそれを見ているだけになりがちだ。だが、そうした心配が三笘の真ん中ドリブルにはない。無謀さは皆無。クレバーさが保たれた縦突破なのだ。 繰り返すが、これはチェルシーの左ウイング、サンチョにはない武器だ。彼と交代で入ったミハイロ・ムドリク(ウクライナ代表)についても同じことが言える。チェルシーファンの中にも、そうした三笘の特殊能力に気づいた人はいるはずだ。 チェルシーで左ウイングを張る力が十分にあることを証明した一戦。筆者にはそう見えた。ブライトンは結局、いいサッカーをしながら4-2で敗れたが、三笘は最後まで特別な選手に見えた。ウイングバックではなくウイングで見たい選手だと、あらためて力説しておきたい。
杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki