侍ジャパン・清宮幸太郎が7年目の躍進 「自分軸」を大事にして迷いなき怪物へ
世界の上位12チームが集まる世界野球プレミア12。オープニングラウンドは、6チームずつ2組に分かれて戦う総当たり戦です。侍ジャパンの開幕戦は13日に迫っています。 【画像】日本ハム・清宮幸太郎 新しい境地を最も実感したCS・第1S第3戦 そこで注目したいのが、日本ハムの清宮幸太郎選手(25)です。清宮選手といえば7年前、ドラフト1位で入団し期待されたなか、思うような結果が出せていませんでした。ただ、今の清宮選手は迷いなしです。
■野手で史上最多タイとなる7球団から1位指名も…
プロ7年目の清宮幸太郎選手が、7月から4カ月で放ったホームランは15本(7月に3本、8月に7本、9月に3本、10月に2本)。 侍ジャパンデビューとなった、9日の強化試合でも初打席でタイムリーヒットを放ちました。 松岡修造さん 「清宮さんは今の自分に満足していますか?」 清宮選手 「全然していないですね」 松岡さん 「してないというのは、どのくらいの感覚ですか?自分が最初思い描いていたものと」 清宮選手 「かけ離れています。自分が想像してた理想の野球人生とは違います」 清宮選手といえば、ホームラン高校通算111本。2017年当時の史上最多記録を持つ怪物でした。 ドラフトでは、野手として史上最多タイとなる7球団から1位指名されました。しかし、ここまでのプロ生活は周囲の期待に応えられず、苦しむ日々。2軍降格を何度も経験しました。 清宮選手 「本当に打席でめちゃくちゃ迷ってました。『どういうフォームで打てばいいんだろう』『どこを気にして打てばいいんだろう』『どんな球が来るんだろう』とか、迷いの嵐でした」 松岡さん 「迷いの嵐は打てないですわ」 清宮選手 「迷いの嵐で。打てないです」
■「自分軸」を大事にして…精神面&技術面をシンプルに
そんな状況から、今シーズン終盤の活躍はまさに「覚醒」。一体、清宮選手に何が起きていたのでしょうか? 清宮選手 「『覚醒』という言葉では表現したくないなとは思っています。僕の感覚的には築き上げてできたもの。突然とかじゃなくて、この7年いろいろなことをやってきたから今があると思っている」 松岡さん 「どうやって自分と向き合っていたんですか?」 清宮選手 「今年は貫きました自分を。『自分軸』という言葉をすごく大事にしていて、いろいろなアドバイスや方法、聞いたり見たりするじゃないですか。だけど自分軸というフィルターに1回かけて、『自分にとってどうなのか』を大事にするようにしています。シンプルになってきた気がします。今までは本当にいろいろなことをやって、どんどん自分に付けていったけど、それをどんどんそぎ落とすイメージです」 自分軸に従うことで、精神的にも技術的にもシンプルになっていったという、清宮選手のバッティング。この新しい境地を最も実感した打席があります。 清宮選手 「クライマックスシリーズ、ファーストステージ第3戦vsロッテで同点タイムリーを打ったんですよ。昔だったら『頼む決めてくれ!』とネクストバッターズサークルで思ってた。あの時は『絶対回ってこい』って。これ俺が決めてやるぞと」 10月のクライマックスシリーズ、ファーストステージ。ロッテと1勝1敗で迎えた第3戦。この試合を落とすと、シーズン終了となります。 2点を追う場面、2アウト2塁3塁で清宮選手。その初球で、同点の2点タイムリーを放ちました。この一打でチームは勢いづき、劇的な逆転勝利をもたらしました。 清宮選手 「迷いなかったですね」 松岡さん 「迷いなき幸太郎はどんな感じでした?」 清宮選手 「打席で自分のフォームは考えない。スパンとバットが出てきましたね」 松岡さん 「幸太郎の道は険しかったですし、迷っていましたけど、今どうやって見えていますか?」 清宮選手 「今は本当に一直線になってきた。確かに思い描いていた自分ではないですけど、自分には自分の道がある。いろいろな人のペースや人生があって、だから誰かと比べないし、『自分はこういう道をたどっているんだ』と思っています」