「目の不自由な子供にヒカリを」支援を続ける岡山市の元盲学校教頭 4年ぶりに子供たちのもとへ【岡山】
岡山放送
特集は海外の目の不自由な子供にヒカリを届けようと支援を続ける岡山市の男性の活動をお伝えします。新型コロナの影響で4年ぶりとなった男性の海外訪問に竹下記者が密着しました。 (竹下美保 記者) 支援活動を続けるのは岡山盲学校の元教頭で全盲の竹内昌彦さん78歳です。竹内さんが2017年に立ち上げた認定NPO法人「ヒカリカナタ基金」では、これまで700人を超える子供たちの目の手術費用を支援してきました。 竹内さんは、初めて手術が行われる国や地域には必ず足を運んでいて、今回4年ぶりの海外で訪れたのはカンボジアの南部の田舎町タケオです。 (ヒカリカナタ基金 竹内昌彦理事長) 「死ぬまでに1000人の子供の目を治したい」 竹内さんが降り立ったのは、人口約1700万人のカンボジア。 (ヒカリカナタ基金 竹内昌彦理事長) 「私は何もできないが日本人の優しい心をカンボジアの子供たちに届けて本当に目が良く見えるようになるといいですよね」 カンボジアは、長年にわたり日本が発展に関わってきたことから世界屈指の親日国です。駐カンボジア日本大使の植野篤志さんも竹内さんを出迎え、活動に期待を寄せていました。 (駐カンボジア日本大使 植野篤志さん) 「カンボジアの人をずっと支えてこられた人がいるとそれをカンボジアの人たちも分かっているからこそ日本人に対して好意を持ってくださる、しかもそれを長く続けて下さっているのは我々政府の立場から見ても非常に有難いこと末永く活動続けてほしい」 竹内さんが向かうのは人口約90万人、南部の田舎町タケオ。首都プノンペンからは車で約1時間半ほどで、タケオへ続く道路は日本の自衛隊が整備したものです。 タケオに到着して訪れたのは地元の眼科病院。3年前からヒカリカナタ基金に協力していて、ようやく訪問がかないました。基金から贈られる費用で、どんな治療が行われているのか、院長らが説明します。 (カリタスタケオ眼科病院 テー・セレイボン院長) 「竹内さんのの話を聞いて竹内さんの夢がより良く分かるようになってきて、同じミッション、目標が立てられて、温かい活動を進めていく」 院長は、これまでに手術を受けた子供の家族に、竹内さんが来ることを伝えていました。3人兄弟の末っ子のサップヤン君は2歳。2023年2月、白内障の手術を受けていました。 (サップヤン君の母親) 「親としてとても感動、その前は置いてあるものを取ってと言っても見えなかったが、今はちゃんと取ってくれるように見えている」 カンボジアでは失明の原因の多くが白内障だといいます。治療をすれば、失明を防げますが経済的な理由でなかなか病院で治療を受けられないのが現状です。病院は、地域の学校と連携し、手術が必要な子供たちを探して早めの治療ができるよう取り組んでくれています。 この日も2人の手術が、予定されていました。2人とも生まれつきの白内障で、それぞれ一方の治療は終えていて、2回目の手術です。 (ロアット君 10歳) 「勉強の時もあまり見えない」 (ロアット君の母親) 「ヒカリカナタ基金知ってます、院長からも教えてもらって感動した」 ロアット君には夢がありました。 (Q,将来何になりたい?) 「ボクサー、テレビで見てなりたい」 (竹下美保 記者) 「まもなく男の子の手術が始ます。今回は特別に手術の様子を見せていただくことになりました」 ロアット君、自分でしっかり歩いて手術に臨みます。費用は日本円で5万円ほど、手術は20分ほどで終わりました。翌日には包帯が取れる予定です。竹内さんは再び子供たちと会うことを約束しました。 (ヒカリカナタ基金 竹内昌彦理事長) 「これまでは日本からお金を送って手術の結果を教えていただくだけでしたが、今回このように直接お会いできて握手もできて本当に子供の目が治るのかなとうれしかったです。」 「私は78歳ですけれど、70年前にお医者さんからもうこの目は治らないと言われてとれも悲しかった、それだけに目が治るということがとても大きな夢のある言葉になった、みなさんのその手は子供たちの未来を拓く黄金の手です」 手術を受けた子供たちの目にどんな「ヒカリ」が差し込むでしょうか。竹内さんは、その瞬間に立ち会います。
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