バブル期に大ヒットした“3兄弟”の長男『71マークII』…茨城トヨペット“レストア事業”ののろし
2月17日、18日にパシフィコ横浜で開催された日本最大級のクラシックモーターショー『第15回Nostalgic 2days 2024』(ノスタルジック2デイズ)。『トヨタ2000GT』『日産スカイライン』(通称ハコスカ/ケンメリ)など、多くのピカピカの旧車が展示されているなかで茨城トヨペットが展示したのは、バンバーが取り外され、内装もない状態の『トヨタ マークII』。兄弟車である『クレスタ』『チェイサー』とともに“3兄弟”として親しまれ、バブル期に爆発的な大ヒットを記録した“70・71系”だ。 【写真】「茨5」ナンバーで”観音開き”の希少車…茨城トヨペット所有の『トヨペットクラウン1900デラックス』内外装全部見せ 「弊社ではレストア事業の立ち上げが発表され、今事業化に向けて準備をしている状況です。そのなかで最初の1台を何にするか社内で議論があって。3年後、弊社が70周年を迎えることから、“70”にゆかりのある車ということで、考えられたのが『71マークII』。この車はバブル期のヒットメーカーで、うちの会社を勢いづけた象徴的1台なんです。社内にもこの車を『売った』『整備した』など携わった人も多く、今ネオクラシックカーとして若者にも人気がある。そんなことから、この車のレストアが始まったんです」(同社 SIP推進室 新規事業推進課 主任 河信賢一氏) 近年、新車販売だけでなく、古い車の修理を積極的に行う“レストア”を事業化するトヨタ系のディーラーが増えている。神奈川トヨタ、奈良トヨタ、ネッツトヨタ富山 GRガレージ富山新庄などに続いて、茨城トヨペットでも『マークII』の“再生”を進めながら、レストアの事業化に向けた準備が行われている。 「1台の車を長く大事に乗られているヘリテージカーユーザーの方がいるなかで、『そういうお客様と末永くお付き合いできたら』という考えのなかでレストア事業が立ち上がりました。『じゃあ新車売らなくていいのか』と言われるんですが、それとこれとは話が別。(レストア事業が始まることで)新車を買ってくれたお客様ともより長くお付き合いをすることができ、安心感につながってくれたらと考えています」 マークIIのレストアをしながら、さまざまなシミュレーションを行っているというが、まだまだ課題は多いという。 「私は、社内の内製工場で板金塗装を長くやっていたので、レストアは甘いもんじゃないというのは薄々感じていたんです。実際にやり始めて『やっぱり』と思うようになりました(笑)。例えば、採算面。何も考えないで趣味のようにやっていたら楽しいんですけど、会社である以上、利益をある程度確保しながらやっていかなければならない。また環境面においても、工場や塗装ブースを用意した際、採算は取れるのか、しっかり考えていく必要がある。そして一番重要なのが、他業種も含め、協力会社との連携。私たちがメーカーだから全部やるというのではなく、必要に応じてその道のプロの方のお力を借りながら、連携してやっていく。そうすることによって、お客様にさまざまな情報、アイデアを提案しながら一緒に直していくことができる。予算や仕上がりの程度なども相談しながらなので、より綿密にお客様とコミュニケーションをとって進めていくことが重要だと思っています」 先述の『マークII』も、日に焼けてへたっていた内装をどうするか、さまざまな生地屋に当たって相談中だという。 「新車当時の姿に戻すことを前提に、レストアを進めています。この車の前のオーナーさんが、当時の流行りのホイールとマフラーを付けていたんですが、それ以外はほぼほぼノーマル。車高も落ちてないし、いわゆる“ヤンチャ”にもしていなかった。なので、新車当時のノーマルな姿に戻したいなと。この車のレストアについてさまざまな企業と相談しながら、将来的に連携を取れるようにしていければと思っています」 事業化の頃にはこの初号機も完成し、多くの人が見ているはずだ。 「今すぐ(レストアの)対応できないんですけど、将来的に茨城のカーユーザーはもちろん、全国の困っているカーユーザーの方に、レストアの選択肢の中に(茨城トヨペットを)入れていただけるように頑張っていきたいなと思います」