スイス時計の新鋭「ノルケイン」。その人気の理由に迫る
スイスの時計産業の新星ブランド、ノルケイン。2023年には待望の18Kゴールドケースを発表し、ますます注目を集めています。CEOのベン・カッファーさんと、バイスプレジデントのトビアス・カッファーさん兄弟に、ノルケインの強みと今後の目標を伺いました。
スイス時計業界の新鋭「ノルケイン」、2024年の次なる一手は?
スイス時計産業では珍しいスタートアップ企業として2018年に始動したノルケイン。100%スイスメイドの独立系企業として、伝統の時計産業の継承を使命としています。 創業7年目ながら、2020年からは高品質な自動巻きムーブメント専業メーカーとして知られるケニッシとパートナーシップを提携、2022年には時計業界のレジェンドであるジャン-クロード・ビバーさんを取締役会顧問に迎え、業界の重鎮にもその実力を認められています。 そんなノルケインは、今後もさらなる飛躍を画策しているのだとか。来日したCEOのベン・カッファーさんと、弟でありバイスプレジデントのトビアス・カッファーさんにノルケインの独自性と今後の目標を伺いました。
顧客との「近さ」がブランド成長の秘訣
2023年末に発表した2モデル。ノルケインのタフかつ軽量な独自素材ノルテック™を採用したことで、総重量を「ワイルド ワン オールブラック」(左)は84g、「ワイルド ワン ゴールド」(右)は105gに留めた。 「ワイルド ワン オールブラック」自動巻き、ノルテック™×ラバーケース(42mm)、ラバーストラップ、200m防水。84万7000円。「ワイルド ワン ゴールド」自動巻き、18Kレッドゴールド×ノルテック™×ラバーケース(42mm)、ラバーストラップ、200m防水。世界限定99本。217万8000円/ともにノルケイン
── まず、ノルケインの強みをお聞かせください。 ベン・カッファー(以下、ベン) 最もユニークな点は、現在のノルケインの価格帯で独立した家族経営を行なっていることでしょう。こんなブランドは他にはありません。ノルケインで働くスタッフも業界としてはとても若くて、平均年齢が35歳なんですよ。その若いチームでスイスの機械式時計産業を次の世代に届けていくことが、私たちの使命です。そのためには受け継ぐだけではなく、新しいことにも取り組んでいくべきだと考えています。それが独自素材の採用や、これまでになくタフな時計ワイルド ワンの生産なのです。 そして、独立系かつ家族経営では、短いタームで結果を求めるのではなく常にロングタームで考えることができるので、その点をブランドの成長に活かします。そもそも、文化とは長い時間をかけて育てるものなので、長い目で見るべきです。その意味では私たちの仕事の形態は強みだと思います。 ── ノルケインは、伝統的な生産方法による100%スイスメイドにこだわっていますね。 ベン はい。私たちは、近隣のトップクオリティのファクトリーとともに時計を作っています。それから最重要なのが、最高のパートナーファクトリーと伝統的な作り方を守りながら、3000~1万スイスフラン、日本円では50万円前後のプライスレンジの中で、最高品質の時計を作ることです。これは非常にやりがいのあるチャレンジです。 ブランド始動前は、この考えは夢だと思われていました。しかし今では、私たちの夢はすでに顧客にまで伝わっていると実感できます。イベントでは私も直接、顧客の皆さんとコミュニケーションを取りますが、特にノルケインを何本も所有してくれているオーナーとは、顧客の域を超えてファミリーみたいな感覚です。立場は違えど、ノルケインをシェアして未来へ進んでいるという感じがしています。