トランプ氏の当選確実で「ワクチン禁止法」と「向精神薬禁止法」が成立? まとめサイトによるもの 【ファクトチェック】
米大統領選で、ドナルド・トランプ前大統領の当選が確実になったことに関連して、「ワクチン禁止法」と「向精神薬禁止法」が成立する見通しだという投稿が拡散しましたが、誤りです。拡散した投稿はまとめサイトのXアカウントで、見出しは掲示板サイトのスレッドタイトルを引用しているだけです。
検証対象
2024年11月7日、「米国、トランプ当選確実で『ワクチン禁止法』と『向精神薬禁止法』が成立する見通し」という投稿が拡散した。投稿にはまとめサイトのURLが添付されている。 2024年11月8日現在、この投稿は2800件以上リポストされ、表示回数は40万件を超える。投稿について「ロバート・ケネディJrさんに大いに期待」「精神疾患を抱えた自分にはちょっと辛すぎます」というコメントがつく一方で「現時点では誤解を招くもの」というコミュニティノートによる指摘もある。
検証過程
まとめサイトと添付記事の内容が不一致 検証対象のリンクは、まとめサイト「Tweeter Breaking News-ツイッ速!」の記事だ。掲示板サイト5ちゃんねるのスレッド「米国、トランプ当選確実で「ワクチン禁止法」と「向精神薬禁止法」が成立する見通し」で、毎日新聞が「2024年11月4日に配信した記事「トランプ氏、当選なら特定ワクチン禁止? 『ケネディ氏大きな役割』」が引用元だとしている。 毎日新聞の記事は、トランプ氏が当選したら、反ワクチン派のロバート・ケネディ・ジュニア氏が次期政権で「大きな役割を果たす」と述べたという内容だ。 記事には、特定のワクチンの禁止についてトランプ氏が「『彼(ケネディ氏)や他の人々と話し、自分で決定する。ただし彼は才能ある男で、確固たる意見を持っている』と含みを持たせた」としか書いていない。
ケネディ氏「誰からもワクチンを奪うつもりはない」
CNNは「ケネディ氏、ワクチンの安全性と有効性を『直ちに』調査 トランプ次期政権で」(2024年11月7日付)という記事で、トランプ次期政権で公衆衛生を統括する役職に就くとみられているロバート・ケネディ・ジュニア氏について、「ワクチンの安全性と有効性を巡る陰謀論の主要提唱者の一人」と説明している。 そのうえで、ケネディ氏が11月6日の米公共ラジオのインタビューで、ワクチンに関する連邦調査に取り組む意向かどうかを問われて、「直ちに取り組むつもりだ」「もちろん、誰からもワクチンを奪うつもりはない。米国民が質の良い情報を確実に得られるように努める」などと述べたと報じている。
判定
拡散した投稿はまとめサイトによるもので、引用元の見出しには「特定ワクチン禁止?」とあるが、「ワクチン禁止法」と「向精神薬禁止法」が成立する見通しとは書いていない。また、トランプ氏がワクチンに否定的なロバート・ケネディ・ジュニア氏の要職への起用を検討しているのは事実だが、ケネディ氏は2024年11月6日時点で「ワクチンを奪うつもりはない」と表明している。よって、誤りと判断した。 検証:木山竣策 編集:藤森かもめ、古田大輔 判定基準などはJFCファクトチェック指針をご参照ください。