熊本県の若手職員、退職が加速 23年度は38人、14年度の2・5倍に 元職員対象「カムバック採用」創設も検討
熊本県の若手職員の退職が加速している。一般行政職のうち10~30代の自己都合退職者数は2023年度で38人と、14年度の2・5倍に増えた。職員不足に伴う業務負担の増加で住民サービスの低下も懸念され、県は経験者採用の制度の創設を検討するなど担い手不足の解消に力を入れる。 県人事課によると、10~30代の自己都合退職者は14年度は15人だったが、その後20~30人程度で推移。22年度は44人に達した。理由は転職が多く、県立大の澤田道夫教授(行政学)は「民間と比較した際、待遇だけでなく、ルーティンワークや業務量の多さを感じているのでは」とみる。 志望者も減少しており、24年度の県職員採用試験(大学卒程度)の申込者は604人となり、競争倍率は初めて3倍を下回った。受験者数自体も10年前と比べ約300人減った。 公務員離れの傾向は全国的な課題だ。総務省の集計によると、全国の都道府県・市区町村で教員や警察などを除く一般行政職のうち、22年度に主に自己都合で辞めたのは1万2501人。10年で2・2倍となった。30代までの若手が全体の3分の2を占めている。
こうした事態を受け、県人事課は職員採用で育児、介護休業といった支援制度の充実など「ワークライフバランスが取れた職場環境」をアピール。介護や結婚、子育て、転職などで退職した元県職員を対象にした「カムバック採用」の創設も検討している。九州では宮崎市が導入し、筆記試験を免除している。 木村敬知事は「一度県職員から離れた人の知見を生かすのは、行政にとっても刺激になる。柔軟な採用システムに変えていく必要がある」と話している。(樋口琢郎)