【霞む最終処分】(44)第8部 デブリの行き先 度重なる取り出し延期 工程表から離れる実態
一方、経済産業省資源エネルギー庁の担当者は作業の遅れはデブリの取り出し開始に限られ、工程表全体に与える影響は少ないとみる。「工程を見直す段階にはない」と説明する。 福島民報社と福島テレビが3月に行った県民世論調査では、ロードマップに記された2051年までの廃炉完了を「達成できない」との回答は「どちらかと言えば」を含めて78・3%に上った。県民の間に、デブリ取り出し開始の相次ぐ延期やトラブルへの不信感が広まっている。 工程表の進捗(しんちょく)と信頼性は被災地にとって、将来の復興を展望する上で重要な情報だ。原子炉工学が専門の東京工大科学技術創成研究院特任教授の奈良林直は「県民の不信や困惑を招かないためにも、国は工程表を廃炉作業の現状に合わせてつぶさに調整すべきだ。各工程の意味合いや作業の実態を分かりやすく社会に示す必要がある」と指摘する。(敬称略)