総統選テレビ討論会 3候補、外交政策や中国の選挙介入など巡り舌戦/台湾
(台北中央社)来年1月13日に投開票される総統選で、与党・民進党の頼清徳(らいせいとく)副総統、最大野党・国民党の侯友宜(こうゆうぎ)新北市長、第2野党、民衆党の柯文哲(かぶんてつ)前台北市長の総統候補3氏によるテレビ討論会が30日、台北市の公共テレビ(公視)で行われた。3氏はそれぞれメディア代表からの質問に答えた。 頼氏は冒頭、これまで3回実施されたテレビ政見発表会を振り返り、侯氏の主張は前時代的だと批判。柯氏の訴えについては、多くは政府が現在取り組んでいることだと突っぱねた。 侯氏は、民進党政権には失策が多いと主張。頼氏は反省せず、検討にも消極的だとし、同氏の発言についても「失望した」と皮肉った。柯氏は頼氏が公約に掲げる社会住宅と呼ばれる公営住宅の建設について、場当たり的な対応だとした上で、民衆党を「ワンマン政党だ」とする批判に対して2022年の統一地方選挙で大敗した民進党こそワンマン政党だと苦言を呈した。 メディア代表から、中国による選挙への介入などを巡り、域外の敵対勢力からの資金援助受け取りなどを禁じる反浸透法の厳罰化や国家機密を守る対策について問われると、侯氏は域外の勢力が台湾の選挙に介入することに反対すると主張。一方で司法機関は罪のない人にぬれぎぬを着せることなく、政治の道具にならないことを望むと語った。 柯氏は台湾が自主性を保つことや両岸(台湾と中国)の平和は、両岸問題に対処する上での基本的な原則だと強調。軍事機密の漏えいに関する裁判で言い渡された懲役の刑期は平均1年半だとし、厳罰化を図る考えを示した。また情報セキュリティーの問題については標準操作手順(SOP)の徹底など基本的な管理を行うことが必要だと述べた。頼氏は関連の教育を徹底すると意欲を見せ、国民が団結して国を守るよう、アイデンティティーの強化を図るとした。 また今後の外交政策に対する姿勢について頼氏は、蔡英文(さいえいぶん)総統の路線は国際的に評価を受けていると主張。民主主義と自由、人権を価値として、世界の民主主義陣営と立場を共にすると語った。 「親米和中」を訴える侯氏は、蔡氏の政策が良ければ、なぜ9カ国と断交し、両岸は意思疎通や対話、交流ができなくなったのかと批判。もし蔡氏の外交路線がまかり通るならば、全世界は台湾海峡の安全保障問題に関心を払うことはなかったと語った。 柯氏は蔡政権の両岸・国内向け政策は「めちゃくちゃだ」とした上で、台湾と中国は協力できるなら協力し、競争すべきなら競争し、対抗すべきなら対抗すると持論を述べた。 (郭建伸、葉素萍、劉冠廷、呉昇鴻、游凱翔/編集:齊藤啓介)