オフトレイルが開幕週のセオリー覆す一気差し切り、福島出身田辺が決めた/ラジオNIKKEI賞
<ラジオNIKKEI賞>◇30日=福島◇G3◇芝1800メートル◇3歳◇出走12頭 6番人気オフトレイル(牡、吉村)が序盤最後方から豪快に差し切り、重賞初制覇を果たした。勝ちタイムはコースレコードタイとなる1分45秒3。地元福島出身の田辺裕信騎手(40)は19年ブレイキングドーン以来、5年ぶり2度目の同レース制覇となった。今後はマイルから中距離路線をターゲットに、秋からの始動をもくろむ。 ◇ ◇ ◇ 福島県二本松市出身の田辺騎手が、開幕週から地元ファンを沸かせた。初コンビを組んだオフトレイルがスタートで立ち遅れ、予定外に最後方からの競馬になっても慌てず騒がず。先行勢がハイペースと見るや、どっしり構えてしまいに懸ける選択に切り替えた。「スタートがうまくいかず後方からになったけど1、2角で前が速いと思ったし、速いペースに巻き込まれなくて良かった。逆にいい方に向きましたね」。4角では大外を回りながら直線で一気に前をのみ込んだ。冷静な判断が上がり最速34秒2の爆発的な末脚を引き出した。 福島での重賞勝ちは23年福島記念のホウオウエミーズ以来通算4勝目。ウイナーズサークルでは地元ファンからの祝福の声であふれた。「久しぶりに福島に来て、こうして重賞を勝つことができてとてもうれしく思います。(地元勝利の味は)おいしかったです」。やはり地元での重賞勝利は特別感がある。 英G12勝のファーの産駒はJRAではこの馬だけ。夏は休養に充て、今後は父が活躍した芝のマイル~中距離の重賞挑戦が視野に入る。鞍上が「レースの幅が広がったしまだ気性も若い。今後が楽しみです」と将来性を高く評価すれば、吉村師も「父も中距離だったし(適性は)マイルから中距離だと思う。実が入ってきているし今後も成長してくれると思う」と胸を張る。最後方一気の差し切りで開幕週のセオリーを覆した。常識破りの走りに大きな可能性が感じられた。【井上力心】 ◆オフトレイル ▽父 ファー▽母 ローズトレイル(キングマンボ)▽牡3▽馬主 ゴドルフィン▽調教師 吉村圭司(栗東)▽生産国 英国▽戦績 7戦3勝▽総獲得賞金 7151万7000円▽馬名の由来 道のないところを行く