売り手市場の就活戦線 内定辞退でも“ファストパス”付与で囲い込み? 夏野剛氏「1人で何十社も応募するのはお互いに時間がもったいない。社会的ロスだ」
本格的に動き出した2025年(現大学3年生)の就活戦線。人手不足や新卒の減少などを背景に売り手市場となる中、企業側が重視しているのは就活生との人間関係だ。採用担当者の口説く力と見抜く力を訓練している企業や、内定を辞退されても就活生との関係をつなげておく企業も増えているという。 【映像】初任給アップアピールも 就活イベントの様子 少子化、人口減少の中、人材確保のため企業には何が必要なのか。『ABEMA Prime』で議論した。
インタツアーが24卒学生を対象に行った調査によると、志望企業の内定後、辞退したことがあるのは55.8%。株式会社人材研究所・人材コンサルタントの安藤健氏は「辞退率は高くなっている。1人あたりの採用コストは、文系だと平均80万円ぐらい、理系だと100万円くらいなので、“やっぱりやめる”と言われると企業は痛い」と説明。 内定を辞退した人に対して、3年以内であればいきなり最終面接を受けられる“タレントプール”を用意する企業もある。「“転職ファストパス”とも言われている。例えば、学生時代からエンジニアをバリバリやっていてスキルも高いような人材は限られている。ITベンチャーで急成長しているような会社だと、そういう人を逃したくないということで、“3年後までに戻ってくるのだったら”というカードだ。売り手市場の中で、採用予定数を充足できている企業は22卒で4、5割ぐらい。半分は採りきれていない」とする。
また、内定辞退を防ぐため、親に内定承諾を確認する「オヤカク」、内々定のタイミングで大学等からの推薦状を要求する「後付け推薦」、“内定出したんだから就活終われ”と要求する「オワハラ」など、様々な動きも指摘されている。そうなると、内定自体にあまり意味がなくなってきているのではないか。 「選考段階では企業が選ぶ側、学生が選ばれる側だが、内定でパワーバランスが逆転する。内定を出した瞬間に労働契約、正確には始期付解約権留保付労働契約といって、“4月から就業が始まる”という契約になる。会社は本人が捕まったりしない限り取り消せないが、学生から取り消すのは法的に問題ない」