【全文】皇后さま還暦(60歳)誕生日ご感想(宮内庁公表)「還暦という節目の誕生日を迎えることに信じられないような気持ち」
皇后さまは12月9日に還暦、60歳の誕生日を迎えられました。 皇后さまは文書で寄せた感想の中で、「還暦という節目の誕生日を迎えることに信じられないような気持ち」であることに触れ、「これからまた新たな気持ちで、一歩を踏み出し、努力を重ねながら、この先の人生を歩んでいくことができれば」とつづられました。 お誕生日に合わせて皇后さまが書かれたご感想の全文をご紹介します。 【皇后さま60歳お誕生日ご感想】(表記は宮内庁公表のまま) ちょうど10年前の今日、50歳の誕生日を迎えるに当たり、それまで半世紀を生きてきたことを思い、「不思議な感慨に包まれます」と感想を綴(つづ)りましてから、いつの間にか10年の月日が経(た)ちました。 光陰矢の如(ごと)しと申しますが、この10年はあっという間に過ぎたようでもありながら、以前には予期していなかったような様々な出来事や社会の変化のあった10年でもあったように感じます。 その10年前の少し前には、未曽有の被害をもたらした東日本大震災により、大変に多くの方々が犠牲になられ、また、被災されました。30年前に私が皇室に入りましてから時をあまり経ずして起きた阪神淡路大震災とともに、このことは大きな衝撃と深い悲しみを持って受け止めなくてはならない現実でした。その後も、7年前の熊本地震のほか、台風や豪雨などの自然災害により、我が国は度々大きな災いに見舞われてきましたが、その度に、その時々の厳しい状況の中で人々が力を合わせ、手を取り合って、助け合いながら、悲しみを乗り越え、苦難に立ち向かおうとする姿にどれほどの感銘を受けたことでしょう。そのようなときに、国内各地、そして海外のたくさんの方から届いた温かい支援や善意も心から有り難く感じるものでした。 4年近く前には、俄(にわか)に新型コロナウイルス感染症の猛威に曝(さら)されることになりました。我が国を含め、世界中で多くの人々が重い病に倒れ、亡くなっていくという、日々の報道を見るのが辛(つら)い毎日でした。そのような中にあって、人々の命を救うために、医療や保健などの分野で日夜懸命に力を尽くされた方々の献身に改めて深く感謝いたします。国民の皆さんの協力も相俟(あいま)って、その後様々な努力が実り、この感染症の問題が少しずつ落ち着きを見せるとともに、街にも活気が戻り、多くの人が徐々に日常の生活を取り戻してきていることに安堵(ど)しています。その一方で、今なお様々な困難を抱えている人も多く、身の上を案じています。