メル・ギブソンが「マッドマックス2」撮影前に見た「シェーン」と「用心棒」 1981年来日会見記
最新作「マッドマックス:フュリオサ」が公開中の長寿シリーズ、原点はこの人、メル・ギブソン。「怒りのデス・ロード」での復活はならなかったものの、今でもマックス・ロカタンスキーと聞けば思い出す、という人も多いのでは。1981年、「マッドマックス2」公開に合わせて来日し、毎日新聞のインタビューを受けている。「マッドマックス」撮影直前に免停になっていたことを明かし、後の問題児イメージの一端も感じさせながら、「映画でもうけて舞台に注ぎ込む」「ハリウッドの脚本は気にくわないので断っている」と心意気も見せている。同年12月19日付けの記事を再掲しよう。 【動画】怒り渦巻くMADな世界「マッドマックス:フュリオサ」ファイナル予告
「映画で稼いで舞台に」「ハリウッドの脚本はつまらない」
正月映画の娯楽大作は数あれど、痛快大迫力という点での最右翼「マッドマックス2」のヒーロー、マックス役のメル・ギブソンが来日した。バイオレンスな役柄とは似つかない優男だ。「ひとをあざむくのが、俳優の面白いところですよ」と彼はいう。第1作でオーストラリア映画を世界に誇示し、彼自身も国際的なスターとなった。 「3年間学んだ演劇学校を卒業した翌日『マッドマックス』(第1作)の出演依頼があった。アクションスターになる気もなかったし、その3カ月前に交通違反で免停になったばかりだったから車をぶっ飛ばす役はどうかと思ったけど、とにかく面白そうな映画だったんで出演したんだ。第2作までの2年間に7本の映画に出た。その中では〝ガリポリ〟がオーストラリアだけでなくアメリカでもヒットしたことはご存じでしょうか」 「ガリポリ」は第一次世界大戦でトルコに出陣したオーストラリア軍の2人の若い兵士の目を通して見た戦争叙事詩。日本でも公開される予定。「マッドマックス2」は中東戦争でアラブの石油地帯が火の海となり、世界的に石油パニックが起こり、オーストラリアの砂漠地帯の製油所をめぐって暴徒と化した若者の一群とその石油を持ってパラダイスを築こうとする住民集団の凄惨(せいさん)な戦いが続いている、という状況のドラマ。そこにふらりとやってきてあわよくば石油を横取りしようというのがマックスであり、マックスの車のオイルを抜き取ったのがライバル、ジャイロ・キャプテン(ブルース・スペンス)である。