東山紀之は近年稀に見る“時代劇スター”だった 『必殺仕事人』シリーズは次世代へ継承?
『必殺仕事人』主役のバトンは松岡昌宏に?
注目すべき点は、新たな仕事人が敵か味方なのか。そして、公式サイトで「驚愕の正体」とされている人斬り牛鬼をいったいどの俳優が演じているのか。シリーズ50周年記念でもあるので、かつての仕事人が出てきてもおかしくないが、やはり今作は東山の引退作。錦織や植草、事務所の後輩である木村拓哉が駆けつけたら感動するが、可能性は限りなくゼロに近いだろう。驚愕という意味では、実は身内という線も考えられる。相棒的な存在であった陣八郎を失い、雪丸に仕事を奪われたリュウが脱退……いや裏切ってもおかしくない。いずれにせよ仕事人VS仕事人の構図になりそうな予感だ。 また、仕事人の引き継ぎが行われるのかも気になるところ。東山版がスタートした2007年版では藤田も出演し、中心的な立場から一歩引き、新メンバー達を束ねる元締め的立場として主役交代を示唆したが、東山が次回作に出ることはほぼないので、どうバトンを渡すのかに注目が集まる。キャリア的には松岡昌宏だが、『必殺』シリーズの主役は表稼業が奉行所の同心という伝統を引き継ぐなら、今のところ候補が見当たらない。 これまで時事ネタを多く取り上げてきた『必殺』シリーズだが、今回気になるのは、野間口徹演じる菊村蔦八。蔦八は人気女形で、芝居小屋で自分の推薦する踊り子を集めて「神田女子衆」なるグループをプロデュースしているという人物。何でもありの『必殺』シリーズとは言え、これがラスボスならちょっと攻めすぎだ。 公式サイトによれば、棗には「来世を誓った亭主がいる」とのこと。予告で「あなたの命を」と、小五郎の命を狙っているような様子も見せており、もし棗が愛する人に関して小五郎か仲間に恨みを持っていたとしたら、そのことに対して小五郎が真摯に向かいあうことになるのかもしれない。仕事人チームの立て直しに精進した後、小五郎が去っていくという展開となったら、何か現実世界と重なるものがあるが、果たして。 今回の『必殺仕事人』は東山にとってまさに最後の仕事となるわけで、これまでのキャリアの集大成といえる華やかで美しい“ラストダンス”に期待したい。ただ、最近の東山を見ていると、若手に託すように静かに去っていくのも東山らしい気もするし、何もなくいつも通り終わるのも粋というもの。どんな現役最後のフィナーレを用意しているのか。そして、50周年を迎える『必殺仕事人』がどこへ向かうのか必見だ。
本 手