腸から心身を健やかに!“腸活”におすすめの食品5種を専門家が解説
「腸の健康」「腸活」は、現在最も注目されているウェルネスキーワードのひとつ。近年は腸内マイクロバイオームに関する研究も進んでおり、そうした研究に後押しされている面もあるが、SNSでも、腸の健康を改善する方法や、腸の健康と更年期障害との関連性、家庭で作れる“腸活”レシピなどへの関心が集まっている。 【写真】今日から食べたい!「健康な腸」に欠かせない7の食品 腸の健康に良い食べ物と、減量や美肌、活力アップ、ストレス軽減を関連付ける研究は数多くあり、腸内環境(ひいては体の他の部分も)をケアするために何かできるか、気になっている人も多いだろう。 健康への関心の高まりにより、最近では便通についてよりオープンに話せるようになっているのは素晴らしいが、まだまだ誤った情報がネット上に流れ、規制されていない製品もあるのが現状。 コンブチャやプロバイオティクスを飲んだり、自分でキムチを発酵させたりなど、今までやっていなかったことをいきなり始めてしまう前に、まずは「健康な腸を持つとはどういうことか」という基本に立ち返り、身近な食べ物からアプローチしてみよう――腸をケアするためのベストな方法はつまり、腸内細菌に良いエサを与えることなのだから。UK版『ウィメンズヘルス』より。
腸に良い食べ物5種
栄養セラピストで、腸の健康の専門家でもあるイヴ・カリニクさんによると、食事に加えるべき食材は以下の5つ。 1. 野菜 「腸内細菌に栄養を与えるには、あらゆる野菜を含む、豊富で多様な植物性食品を食べることから始まります」とカリニクさん。 「当然のことのように思えるかもしれませんが、野菜は腸の健康にとって重要です」と補足するのは、英国栄養士会ロンドン支部の代表で顧問栄養士のソフィー・メドリンさん。「栄養士として毎日患者さんと接すると、ほとんどの人が同じ野菜を繰り返し食べていることがわかります。ですから、最大限の効果を得るためには、食べる野菜を変えるようにしましょう。野菜のサブスクを利用したり、週に1つ新しい野菜を選んでみたりしても良いと思います」 ある研究では、「果物と野菜を1日5品目食べることを目標にすべき」とされているが、多くの専門家は週に30品目の植物性食品を摂取することを新たな目標に掲げている。 「『American Gut Project』による大規模な研究では、週に30品目以上の植物性食品を食べる人は、10品目以下の人よりもマイクロバイオームが非常に良好であることが明らかになりました」とカリニクさん(彼女は最近、「Detox Kitchen」と提携して、腸を癒やし回復させる10日間のプログラムもローンチしている)。 「つまりは、食事に多様性を持たせるということです。この10日間のプログラムでは、そのことに重点を置いています。例えば、食事の中には11種類の植物性食品が入っているものもあります」 2. 食物繊維 「腸の健康を総合的にサポートする最もシンプルな方法は、食物繊維に頼ることです」とカリニクさん。「食物繊維は、消化することはできませんが、腸内細菌に十分な栄養を与えてくれるため、腸と脳の間のシグナルとして使われる酪酸のようなポジティブな成分をたくさん作り出すことができます。食物繊維は野菜、果物、ナッツ類、シード類、全粒穀物などに含まれます」 なお、英国政府のガイドラインによれば、1日あたり30グラムの食物繊維をとる必要があるそう。「これは、果物1個、野菜6人前、全粒穀物2人前、ナッツ&シード類3人前に相当します」 3. プレバイオティクス 「プレバイオティクスは食物繊維の一種で、善玉菌の“エサ”となります」とカリニクさんは説明する。「腸内環境を庭に例えると、プロバイオティクス(善玉菌)が“種子”であるのに対し、食物繊維は“肥料”です。基本的に、種子が成長するには肥料が必要なように、腸内の有用菌もプレバイオティクスというエサを必要とします」 「にんにく、玉ねぎ、ねぎ、アスパラガス、アーモンド、カシューナッツなどが良い食材の例ですが、IBS(過敏性腸症候群)を患っている人は、これらの一部を口にする、あるいは食べ過ぎることで症状が悪化する場合がありますので、控えめにしましょう」と彼女は補足する。 4. 発酵食品 カリニクさん曰く、「発酵食品は善玉菌を得ることができる食品です」「キムチ、ザワークラウト、ヨーグルトなどは最高の選択肢です」と話す。 発酵ヨーグルト飲料であるケフィアについて、メドリンさんはこう述べる。「生きたまま腸に届き、大腸のエコシステムに有用なプロバイオティクス細菌を加えることの確たる証拠がある、唯一の発酵食品です。私は、長時間のウォーキングやジムでのワークアウト後に、ベリー類とブレンドしてスムージーにして飲むのが大好きです」 ただし、食物繊維と同じように、発酵食品をあまりとらない状態から、数日で急激に摂取すると、過剰なガスや膨満感など不快な症状を引き起こす可能性があるので、2~3週間かけて徐々に量を増やしていくのがベストとのこと。 5. 果物&ナッツ 近年、果物は糖分が多いという理由で悪者扱いされることがあるが、メドリンさんによると、腸の健康にとっては非常に重要だという。「できれば色の違う果物を1日2品目食べましょう。腸の健康をサポートしますし、ポリフェノールと呼ばれる色素成分がマイクロバイオームにも役立ちます」 同様に、脂質の高いナッツ類も90年代の低脂肪ダイエットでは悪とされてきたが、腸の健康においてはとても大切な食品だと彼女は続ける。「ヘルシーな脂質と食物繊維が豊富で、食事からは摂取しにくいビタミンやミネラルも含まれています」「午後のおやつにミックスナッツをひとつかみ食べると、血糖値が安定し、細菌たちのエサにもなります」