30年後にはなんと「日経平均40万円」!? あながち絵空事ではない「GDP1,000兆円時代」の日本株【解説:三井住友DSアセットマネジメント・チーフグローバルストラテジスト】
2. バフェット指数から考える日本株の長期展望
■岸田首相が言うように21世紀前半、つまり2050年までに日本の名目GDPが1,000兆円まで拡大した場合、日本株にはどのようなインパクトがあるのでしょうか。一国の株式時価総額の合計と名目GDPとの関係を見る指標に「バフェット指数」があります。米著名投資家のウォーレン・バフェット氏が投資対象国を検討する際に用いるとされているバリュエーション指標ですが、ある国に上場する全株式の時価総額の合計をその国の名目GDPで割ることで求められます。例えば、時価総額の合計が900兆円、名目GDPが600兆円であれば、バフェット指数は150%になります。ちなみに、現在の日本のバフェット指数はここもとの株価高騰により約170%に上昇していますが、米国の約198%を下回る水準にあります(図表2、いずれも今年3月末時点)。 <企業のグローバル化、巨大化で上昇を続けるバフェット指数> ■かつては「100%を上回ると割高」とされていたバフェット指数ですが、近年は企業のグローバル化や巨大化もあって、日米ともに同指数の上昇傾向が鮮明となっています。例えば、日本を代表する製造業であるトヨタ自動車は年間1,000万台の自動車を世界中で製造・販売していますが、日本国内向けはわずか150万台ほどにとどまります。このため、トヨタ自動車の売上や利益、そして株式時価総額は、日本経済の成長スピードを大きく上回るペースでの上昇が続いています。 ■足元の日本のバフェット指数の水準である170%が今後も続くと仮定すると、日本の名目GDPが現在の約598兆円から1,000兆円に拡大した場合、日本の株式時価総額は現在の約1.72倍の1,700兆円に増加する計算になります。そして、発行済み株式数が今後も一定で推移すると仮置きすると、株価指数も約72%上昇して日経平均で換算して約68,700円(40,000円×1.72)まで上昇する計算になります。 <名目GDPの増加ペースを上回る企業の増益率> ■「26年もかけて約7割しか上昇しないのか」との落胆の声が聞こえてきそうですが、がっかりするのは少々気が早すぎるかもしれません。というのも、「バフェット指数が一定」と仮定することは、名目GDPと株価の上昇が同じペースで進む、ということに他ならないからです。しかし、これまでの経験則に照らせば、株価指数の上昇やそれを支える企業業績の増加は、名目GDPの拡大ペースを上回る可能性が高いからです。
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