【インタビュー】楽天ガールズ・若潼が「台版堀北真希」と話題に 若潼が語る台湾チアの挑戦と進化
球場を盛り上げ、選手とファンをつなぐチアリーダー。中でも、台湾プロ野球(CPBL)のチアリーダーは数年来、日本のファンからも熱い視線が向けられています。 【画像】「台版堀北真希」を見る 台湾チアを“箱推し”するねとらぼでは多くの台湾チアにインタビューし、それぞれの魅力をお届けしています。今回お話を聞いたのは、楽天ガールズの若潼(ロートン/Tanya)さん。2024年の楽天ガールズはチームを紅隊と白隊の2つに分け、それぞれ隊長・副隊長を置く体制。若潼さんは紅隊副隊長として活躍しており、笑顔やファンサを見た日本のファンからは「台版堀北真希」といった声もあがっています。 ・チアの契機はYURIとの出会い ―― 初めに、チアリーダーを目指したきっかけから教えてください。 若潼 私がチアに興味を持つきっかけとなったのは、YURIとの出会いです。 彼女は、私よりも先に「Lamigoモンキーズ(現在の楽天モンキーズ)」のチアリーダーとして活躍していて、ある日、試合後のイベントに私の好きな歌手の?紫棋(G.E.M.)が来るとYURIから聞いて、彼目当てで球場に足を運んだんです。 試合後のイベントが目的でしたが、試合中の球場の雰囲気や環境にすごく惹かれました。チアリーダーと一緒に観客が盛りあがり、熱くなってチームを応援するのを体験し、すごく魅力的だなと。それを機にチアになろうという思いが芽生えました。 その後、たまたまYURIと一緒にLamigoの担当者の方と会う機会があり、「良かったらあなたも入らない?」とのことで、加入することになりました。 ―― チアリーダーとしての楽しさはどんなところにあるか教えてください。 若潼 私たちチアの存在をきっかけに球場へ足を運び、球場の熱気や雰囲気に引き込まれて野球を好きになってくれた方がいることです。観客の中には、恥ずかしがり屋さんやうまく踊れない人もいますが、そんな人たちも巻き込みながら、ファン全体の応援をけん引していく感覚はとても楽しく、そこにやりがいを感じることもあります。 ―― 反対にチアリーダーをしていて大変なところはどんなところですか? 若潼 台湾は本当に暑い! あと雨も多いです。試合中に雨が降ると雨に打たれながら踊ることになります。雨が上がった後は、虫がたくさん発生して虫だらけになったり(笑)。あと、日曜日の試合は14時から始まる場合があるのですが、台湾の14時の太陽は本当に強烈で……。そんな中でも踊り続けないといけないのは大変ですね。 また、ファンをリードする立場として、球場では常に前向きでいなければなりません。私たちも人間なので、プライベートで良くないことがあったり、気持ちが沈む日があったり、体調が悪い日だったり、常に一定ではありません。でも、そうしたことを観ている人たちに感じさせてはいけないし、常に笑顔で前向きにステージに立つ必要があります。これはなかなか難しく、私自身の課題でもあります。 ・各チーム応援の特徴 ―― 好きな選手はいますか? 若潼 自チームだと捕手の林泓育選手(背番号11)です。彼はアニキ感があってチームの精神的支柱です。以前、選手同士が雑談しているのを見ることがあったのですが、彼は後輩に対し技術面の指導だけでなく、精神面でのアドバイスや、どのように物事にあたるかといった訓話を伝えていて素晴らしいと感じました。選手として安定して試合に出られるよう、自分の身体と健康に非常に気を遣っている点も尊敬しています。 ―― 特に好きな応援歌、また踊っていて大変な応援歌はありますか。 若潼 最近特に好きなのは林政華選手の曲です。踊りもかわいくてメロディーも好きです。反対に大変なのは……チャンテや陳晨威選手の曲。踊りもそうですが、選球眼が良くしっかりボールを選ぶので、踊っている時間も長くなりがちなので。 ―― 若潼さんから見た各チームの応援の特徴があれば教えてください。 若潼 応援歌の曲調がチームごとのカラーとして現れているように思います。例えば、統一だと台湾語が使われていたり、南部の熱気というかご当地感があります。味全は人生感というか濃厚な感じ、兄弟と富邦は流行曲が多く歌いやすい感じかなと。私たち楽天は韓国風の電子音楽が多いですね。 ―― チアリーダーに入るきっかけとなったYURIさんとは今も仲が良い姿が伺えますが、他にも仲の良いチームメイトはいますか。 若潼 YURIが2017年に統一のUni-Girlsに入った時の同期、今はDragon Beauties(味全)の心?や馬妹、Passion Sisters(中信)の?可、統一にいるYovia(2018年入団)らです。YURIを通して知り合ったメンバーとは今でも仲が良いです。 楽天ガールズも仲が良くて、プライベートでご飯を食べに行ったりします。特にKiraやGalin、あとは卉?や十元らと行くことが多いですね。 ・日本のファンは迫力も情熱もすごい ―― 2023年はアジアプロ野球チャンピオンシップの応援で東京ドームにいらっしゃいましたね。印象に残ったことはありますか? 若潼 たくさん! 特に驚かされたのは日本のファンの応援の迫力です。外野からも内野からも大声援が起こっていて圧倒されると同時に「負けていられない、私たちも大きな声で頑張ろう」と思わせられました。 あとは日本のファンの情熱です。大会では多くの日本のファンが、私たち台湾のことも応援してくれました。日本のファンの人たちが、台湾の各選手の応援歌を歌って踊れていることに本当に感心しました。 東京ドームの環境もすごく快適で、平日でも満員に近い人が入っていたのも印象的です。台湾の球場は平日そこまで人が多くないので。球場ですれ違った多くのファンがグッズを身につけ、ベビーカーに乗るような子どもから、赤ちゃんを抱いたお母さん、お年寄りまで、皆さんが球場に足を運び好きな選手やチームに声援を送る姿を観て、日本において野球というのは日常の一部になっているのだなと感じます。 ―― アジアプロ野球チャンピオンシップ以外でも日本に何度かいらっしゃったことがあると思います。 若潼 交流試合で宮崎や石垣島に行きましたし、他にもいろいろな場所へ行かせていただいています。これまでの交流試合では、日本のチアリーダーのすごさに驚かされました。みんなダンス経験があり、足を上げるときは高く、ターンも美しい。内野、外野どこからでもしっかり見られるようにという意識からか、動作も非常に大きく、立ち姿やリズムもきっちりしていて感心していました。球場全体の清潔さ、特に選手のユニフォームが真っ白に洗濯されているのも印象的です。 ―― 日本に訪れた中で特に印象に残った場所や食べ物はありますか。 若潼 日本はどこもすごく好き。日本にいる時はなぜかすごく肌の調子が良いです(笑)。食べるのも大好きで、特にラーメンが好きです。濃厚豚骨も、北海道みそも。あとカニ! 和牛! 本当に日本の食べ物はどれもおいしいですね。ギョーザも好きです、外がパリパリで中に少しラー油を加えて食べるととってもおいしいです。 ・新しい「台湾のチアリーダー」を ―― 若潼さんがチアになられた2019年から台湾野球界そしてチア文化も変わってきたと思います。若潼さんはその変化をどう捉えていますか? 若潼 素晴らしいことだと思います。 一時期はさまざまな要因から球場に足を運ぶ人が少なくなりましたが、それまでとは違う方向での経営努力や、チアリーダーの存在、週末のテーマデーなど、さまざまな取り組みにより、現在は以前より多くの人が再び球場に足を運び、台湾の野球に注目してくれるようになりました。 こうした変化が、台湾のスポーツ観戦の習慣化、先ほどお話しした日本のように仕事終わりに球場に足を運ぶ、休みの日に家族で野球場に遊びに来るような文化につながっていけば良いなと思います。また今後、野球が台湾を代表するスポーツとなり、多くの国の人が台湾の野球のすばらしさに気づいてもらえればと。台湾にもすばらしい選手がたくさんいますから。 ―― 2024年は、日本人や韓国人など外国籍のチアリーダーが多く加入しました。 若潼 彼女たちが台湾に来てくれることで、これまで知らなかったこと、見たことなかったものを学ぶことができます。例えば日本のチアの動作やダンスの体の使い方は台湾とは大きく異なりますし、韓国のダンスのリズムもそうです。多くのことが学べますし、良い部分を吸収・融合してまた新しい「台湾のチアリーダー」を作っていけると思っています。 ―― では、他の国にない、台湾チアの良さはどこにあると思われますか? 若潼 ファンとの親近感、接している時間の長さではないかと。台湾は、試合前のオープニングダンスはもちろん、攻撃中は各選手の応援歌を踊り、イニング間のダンスもあります。また試合前のイベントに出演したりと、ファンの皆さんと接する時間は長く、自然と仲良くなりますね。 ・チアとしての目標と個人的な思い ―― 若潼さんは今、チアとして、またチア以外でどんな目標をお持ちなのでしょうか。 若潼 先ほどお話した林泓育選手のような人、経験や過去に通ってきた道を後輩たちに伝えられる人、メンバーが壁に当たった時にこうしたらもっとうまくいくよと手助けできる人、チームに結束力をもたらせる人になっていきたいです。 あとは、チームを代表してより多くの国際試合、交流試合に参加したいです。2023年にチームのロサンゼルス遠征に参加して大谷翔平選手の試合が見られたように、野球が大好きな私にとって異なる国や場所で野球を見られることは本当に楽しい体験です。これからも日本や韓国をはじめ多くの交流試合に参加していけたらうれしいです。 個人的な話をすると、歌を歌いたい、歌手になりたいという夢がずっと変わらず心の中にあります。ただこれはいつかかなえられると信じて、今はひとまず横に置いています。今はより多くの物事に触れ、学習することを意識して取り組んでいます。ただ最終的な目標はやはり歌手になることです。 ―― 最後に日本のファンにメッセージをお願いします。 若潼 早く日本に行ってまた皆さんにお会いできるのを楽しみにしています。日本のファンの皆さんが何らかの機会で台湾に来ることがあれば、ぜひ桃園棒球場に足を運んでもらえたらとてもうれしいです。台湾ならではの熱い球場の雰囲気や台湾式の応援を体験してもらえますし、もちろん私に会いに来てくださるのも大歓迎です。 これからもみんなで野球を愛していきましょう!
ねとらぼ