「鬼滅の刃」刀鍛冶の里編はさらに輝きを増し、柱稽古編第一話は今後の期待を盛り上げる充実の内容!【ワールドツアー上映レビュー】
『ワールドツアー上映「鬼滅の刃」絆の奇跡、そして柱稽古へ』が2月2日から公開となりました。初日から多くの観客が詰めかけており、同様の方式で公開された昨年の「ワールドツアー」上映につづき、今回もヒットとなりそうです。 【フォト】『鬼滅の刃』キャラクタービジュアル 今回の劇場上映は、2023年に放送・配信された『刀鍛冶の里編』の最終話「繋いだ絆 彼は誰時 朝ぼらけ」と、今年の春から放送・配信予定の『柱稽古編』の第一話という構成。テレビシリーズのエピソードを4Kアップコンバートし、音響でも劇場に合わせて7.1ch・5.1chへ対応させています。 果たしてその鑑賞体験はどんなものだったか、レビューしてみたいと思います。 ※以下の本文にて、本テーマの特性上、作品未視聴の方にとっては“ネタバレ”に触れる記述を含みます。読み進める際はご注意下さい。 ■「刀鍛冶の里編」はスクリーンでどう輝いたか 本上映は、主人公の炭治郎のこれまでの歩みを簡単に振り返るプロローグ的な映像から、『刀鍛冶の里編』最終話へと繋げる構成となっています。煉獄杏寿郎と猗窩座との壮絶な戦いなど、これまでのテレビシリーズと劇場版を彩った名シーンがもう一度大きなスクリーン観られるのも本上映の醍醐味のひとつでしょう。 今回、最終話のエピソードでは上弦の肆・半天狗と炭治郎たちの戦いの顛末が描かれます。必死に逃げる半天狗をあと一歩のところまで追い詰める炭治郎ですが、ここで鬼の活動限界である日の出を迎えることに。日の出になれば鬼はどこかに隠れる上に、妹の禰豆子も生きてはいられません。 この時の朝日が昇るカットは、劇場ではインパクトが増しています。映画館は照明を落として場内を暗くしていますから、朝日などの光はとりわけまぶしく感じられるのです。そのため、朝日が昇ってしまった絶望感がテレビで視聴するよりも強く感じられます。 絶望感も強くなるなら、禰豆子が太陽を克服したことがわかった後の歓びも倍増です。「おはよう」と笑顔で言う禰豆子の表情を捉えたカットに降り注ぐ太陽の光は柔らかく感じられ、同じ光でもこれだけ違うのかと思わされます。 音響も放送・配信とは異なるサラウンド効果がきちんと活かされており、自身の周囲を回り込むかのように聞こえるかのように聞こえる炭治郎の斬撃のエフェクト音や、里を救った炭治郎に贈られる声援などは映画館ならではの醍醐味となって聞こえてきます。総じて、テレビでの鑑賞よりも贅沢な体験をさせてもらえるという点で、すでに視聴済みのエピソードを映画館で見直すということの意義を強く感じさせてくれるものとなっています。 ■「柱稽古編」の第一話には追加シーンも さて、『刀鍛冶の里編』も見どころ満載ですが、やはり多くのファンが気になるのは、新規エピソードである『柱稽古編』の内容でしょう。こちらも、気になる要素満載でこれから始める新シリーズに向けて期待感をおおいの高めてくれる内容となっていました。 まず、冒頭から追加されたエピソードが登場。蛇柱・伊黒小芭内と風柱・不死川実弥がコンビで鬼狩りの任務をするシーンが描かれるのです。2人の本格的な活躍が描かれるのは、アニメではこれが初めてで、ufotableの持ち味である夜の闇の中の切れのあるアクションがたくさん見られるのは、ファンには嬉しいサプライズでしょう。 『柱稽古編』の第一話は、新章の始まりだけあってこれから展開するエピソードの下準備をするというものとなっています。冒頭の柱2人の活躍の後は、太陽を克服した禰豆子を巡って最終決戦がまもなく始まるという議論が交わされ、それに備えて鬼殺隊の稽古をつけるという話が出る一方、水柱・冨岡義勇がその話に加わらない不穏な場面も。そして、その稽古と並行して、独自に鬼舞辻無惨を倒す方法を研究する珠世のもとに、一羽の鎹鴉(かすがいがらす)がやってきます。その鴉を誰が、何の目的で珠世に差し向けたのか、答えはぜひ劇場で確かめてください。ちなみにその鎹鴉の声を担当するキャスティングにも注目です。 このあたりの描写は原作とは少し順番を入れ替えて先に一話で登場させた形となっていますが、最終決戦に向けて、色々なところで動きがあるということを描くことでさらに大きな期待感を煽ることに成功した、巧みなアレンジと言えるでしょう。 迫力と感動のエピソードの魅力をさらに増幅させ、新章の期待を盛り上げてくれる期待通りの内容でした。そして、『柱稽古編』の新オープニング映像と楽曲もいち早く堪能できるのもファンには嬉しい限り。劇場までわざわざ駆け付ける価値ある内容です。 ※煉獄杏寿郎の”煉”の漢字は「火」に「東」が正しい表記 『ワールドツアー上映「鬼滅の刃」 絆の奇跡、そして柱稽古へ』 ■作品詳細 2024年2月2日(金)上映開始 【スタッフ】 原作:吾峠呼世晴(集英社ジャンプ コミックス刊) 監督:外崎春雄 キャラクターデザイン・総作画監督:松島 晃 脚本制作:ufotable サブキャラクターデザイン:佐藤美幸、梶山庸子、菊池美花 プロップデザイン:小山将治 美術監督:衛藤功二 撮影監督:寺尾優一 3D監督:西脇一樹 色彩設計:大前祐子 編集:神野 学 音楽:梶浦由記、椎名 豪 アニメーション制作:ufotable 【キャスト】 竈門炭治郎(かまど・たんじろう):花江夏樹 竈門禰豆子(かまど・ねずこ):鬼頭明里 我妻善逸(あがつま・ぜんいつ):下野 紘 嘴平伊之助(はしびら・いのすけ):松岡禎丞 不死川玄弥(しなずがわ・げんや):岡本信彦 冨岡義勇(とみおか・ぎゆう):櫻井孝宏 宇髄天元(うずい・てんげん):小西克幸 時透無一郎(ときとう・むいちろう):河西健吾 胡蝶しのぶ(こちょう・しのぶ):早見沙織 甘露寺蜜璃(かんろじ・みつり):花澤香菜 伊黒小芭内(いぐろ・おばない):鈴村健一 不死川実弥(しなずがわ・さねみ):関 智一 悲鳴嶼行冥(ひめじま・ぎょうめい):杉田智和 (C)吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable
アニメ!アニメ! 杉本穂高