【カケル×サンイン】鳥取市が導入目指す「自動運転バス」先行する岐阜市から見える課題は「採算性」
山陰中央テレビ
TSKと山陰中央新報のコラボ企画「カケルサンイン」今回のテーマは鳥取市が導入を目指している「自動運転バス」です。 2回目は、実際に自動運転バスを走らせている岐阜市を取材。導入に向けた課題を探ります。 2024年12月、鳥取市が行なった「自動運転バス」の実証実験。400人を超える市民が試乗、今後、検証が行われます。鳥取市では運転手不足とバス路線の維持を背景に2年前から鳥取砂丘周辺や市街地などで「自動運転バス」の実証実験を進めていますが、導入時期は未だ未定です。 鳥取市交通政策課 宮谷卓志 課長: 今回の自動運転バスの実証実験では約9割の自動運転率を目指していてまずはそこをクリアすること。100%にいかに近づけるかというところ。その中で使えるようになった。自動運転バスをいかに路線バスに置き換えていくのかという次のステージが待っている。なかなか時期は決まってないのかなと思っている。 導入時期未定の鳥取市に対し岐阜市では、約5年間の実証実験として2023年11月から2028年3月まで、毎日自動運転バスが運行されています。運行は午前10時から午後4時過ぎまで。30分間隔で1日12便、運賃は無料です。オペレーターが乗り込み走行を補助するため完全自動運転ではありませんが、市街地で毎日自動運転バスを運行するのは全国で初めての試みです。 岐阜市役所交通政策課・宇野真由美さん: 当初の予想をはるかに上回る利用状況で、担当職員みな驚いています。 1年間の利用者はのべ約4万8000人。1便あたり平均10人が乗っていて、想定より3割ほど多かったということです。時速19キロで中心市街をゆっくりと回り、観光客も利用しています。一方、運行にかかる経費は5年間で7億2000万円。その大部分を国の補助で賄っているのが現状です。 岐阜市役所交通政策課 宇野真由美さん: 実際運行料金はどうするかとか、そういうのはまだ決まっていなくて、今後継続運行を考えていくと、費用面でどうやって考えていくかというのが重要な課題だと思っている。 また技術面でも障害物の回避や車線変更など、改良する余地があるということですが、岐阜市ではこの5年間で精度を高め、オペレーターが乗らない完全自動運転の実現を目指すとしています。 岐阜市役所交通政策課・宇野真由美さん: 公共交通にとって重要なインフラであって、将来に渡って持続可能なものとするためには継続運行しているということで、市民のみなさんに受け入れという意味でもみなさんに毎日みてもらうことがかなり大事なことだと思う。 一方、八頭町も5年前の2019年に自動運転バスの実証実験を実施しました。ルートは郡家駅から大江ノ郷までの片道7.2キロ。しかし時速19キロの低速で走行したため、後続車両の邪魔になったほか、センサーが道路と踏切の違いを認識できず、踏切では手動での運転が必要などの課題が見つかり、いまだ導入には至っていません。 八頭町・吉田町長: できれば運転手の不足が課題で、それこそ先駆的な取り組みができればいいが、ひとつずつ(自動運転の)課題をクリアということになろうかと思う。 八頭町と先進地の岐阜市。共通する課題もあれば、地域ごとに異なる課題もみつかりました。さらに採算面でも…。自動運転バス1台の価格は9000万円。通常のバスの4.5倍です。国から補助金が出るとはいえ、複数台導入するのは困難です。 鳥取市交通政策課・宮谷卓志課長: 補助金で1台安く入れたとしても続かないし、(自動運転バスが)流通していくと補助金はないが価格が落ちる。どちらを選ぶかは政策判断かなというのがある。 また課題解決への取り組みと並行して、公共交通の維持に対する市民の意識改革も必要です。 鳥取市交通政策課・宮谷卓志課長: 自動運転だけでなくて、公共交通は皆さんが利用しないと残らないんだなというの再認識していただくのと、そこからみなさんと課題の共有が出来たらなと思っています。 この日、前回の実証実験を踏まえて機能が改善された自動運転バスに、鳥取市の深澤市長が試乗しました。 鳥取市・深澤市長: かなり進化した点があったと感じた。未来はこうした形で運行されることになろうかなと思う。 国が2027年までに全国100カ所以上での導入を目指す自動運転バス。鳥取市はその中に加わるべく実証実験を続け、山積する課題に向きあいます。
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