AIに多様性を 国産生成AI開発の意義を開発者に聞く
~フェイクニュースのカウンターに~
生成AIでフェイクニュースはいくらでも作れます。一方で、フェイクニュースっぽい怪しい情報を片っ端から削除していくと誤って人間発の情報も削除してしまう可能性があって、言論統制になってしまう。 そうならないようにするには、カウンター、反論となる情報発信をするしかないわけで、本当は人間が反論するのが一番いいのでしょうが、ChatGPTが短期間で1億人と直接対話をしたことからもわかるように、生成AIは膨大な数のフェイクニュースを作る能力があります。なので、とてもじゃないが人間では反論が追いつかないという世界がいずれ来るでしょう。 そうなってくると、いわば「正義の味方の生成AI」が自動で反論するしかないという状況になるでしょう。もっとも「正義の味方の生成AI」も一つしかないと、それが間違ったことを言ったときに大変なことになってしまいますので、多数の「おおむね正義の味方の生成AI」が必要になると思います。それらが互いに議論している様子を人間が見て、最終的に何が正しいかを判断するといったことも必要になるんじゃないでしょうか?
~AIに多様性を~
この世界に賢い生成AIがごく少数しかなくて、皆がそれらを使って、それらの言うことを聞くという状況は良くないなと思っています。多様な生成AIがあって、それぞれ違うことを言う世界の方が、良いだろうと。 先ほども言ったように、生成AIのどれかがおかしなことを言っても、他の生成AIが訂正するといったこともあるでしょう。また、生成AIを使ってなんらかのアイデア出しをするにしても、多様な生成AIがあった方が、より多様なアイデアが得られるでしょう。さらには、それらの多様な生成AIが互いに議論をすることで、より深くて多様なアイデアが出てくる可能性もあると思います。 そうした世界の方が世界全体でイノベーションが増え、今人類が抱えているいろんな問題の解決につながる可能性も高まるんじゃないでしょうか? 日本製のAIが、日本人は多分こういうふうに考える、その理由はこれこれです、みたいなことを海外に向けて言ってくれるとすれば、日本人への世界の理解がより深まるでしょう。これはどの国でも同じなので、それぞれの国がそれぞれの生成AIを持っていて、例えば外国の人がその国の人に直接聞きにくいことでも、その国の生成AIに聞けばわかるというようなことになれば、国同士の相互理解ももっと進むんじゃないでしょうか? (第2部では大規模言語モデルとは何か、そして人材獲得・開発競争について話を聞きます)