崩壊寸前の路線バス 「2024年問題」で運転手不足に拍車 今後“大量退職”予想も…「このままではヤバい」【#みんなのギモン】
■全産業平均より約2割低い年間所得 94%が赤字…待遇も上げられず
バスの運転手については、待遇面でも課題があります。 国交省のデータでは、バスの運転手の年間所得額は平均399万円となっており、全産業平均の497万円に比べても約2割も低いです。とはいえ、バス会社が待遇を上げようと努力しても、経営自体が厳しいです。2021年度にはバス会社の94%が赤字経営に陥っているといいます。 こういったこともあり、2021年度までの12年間に全国で1万5000キロ以上の路線が廃止されています。 赤字で待遇も上げられず運転手も不足するとなると、路線を廃止せざるを得ない負のスパイラルに陥ります。
■「このままではヤバい」バス会社が訴え 新人運転手“やりがいアピールすれば増えるかも”
神奈川県を中心に運行する京浜急行バスが今年の夏、運転手を募集するためのポスターを掲示しました。「人財不足で、このままではヤバいです」と“どストレート”に訴えています。 この会社でも運転手は足りないといい、逗子駅行きなどの路線の一部運休が続いているといいます。 人事の担当者である京浜急行バス・人事労務課の玉井純課長補佐は「乗務員の数がギリギリであることは間違いなく、来年度以降、最大で数十名の運転手が足りません」と話しています。 そのため、このポスターを使ってキャンペーンをしたところ、これまで参加者がゼロの日もあった会社説明会に、10人近くが来るようになったといいます。 どれだけ路線バスが地域に欠かせないのか、京浜急行バスの新人運転手、藤沼天太さん(22)に同行させてもらいました。 藤沼さんは小さいころから乗り物が好きで、“人の役に立ちたい”と2020年4月に入社し、今年8月から指導者とともに乗務しています。
この日の乗客の約8割がお年寄りだといい、慎重に運転を進めるのはもちろんのこと、車いす利用者の介助なども丁寧に行っていました。 京浜急行バス 藤沼天太さん(22) 「責任感はすごく感じます。高齢者の方はちょっと転んだだけでも結構大きなけがになったりするので、緊張してハンドルを握るんですけど、乗せたお客様が目的地で降りて『ありがとうございました』って言ってくれるのをきくと頑張ろうって思える」 藤沼さんは“自分たちがやりがいをアピールすれば、運転手は増えるかもしれない”と話していました。 ◇ 自由に気軽に移動できるということは、生活の質そのものにも直結します。“人々の足”となる公共交通機関が崩壊することのないように、新しい技術も含めてあらゆる手を打つ必要があります。 (2023年10月9日午後4時半ごろ放送 news every.「#みんなのギモン」より)
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