CGとAIで完全再現した「リアル龍馬」の新テレビCM放送開始 高知では「リアル龍馬像」も一般公開
ヤクルトは、CGとAIで再現した坂本龍馬(リアル龍馬)が登場する「Yakult(ヤクルト)1000」の新テレビCMを2024年1月25日より放送している。 【写真】現存する数少ない写真、造形物などから脱藩当時の顔を造形した「リアル龍馬」 新CMに登場する「リアル龍馬」は「デジタル・ヒューマン」(※1)というVFX技術(※2)を使ってCG造形した顔(頭部)と、顔・骨格・年齢などの情報からAIで生成した音声、実際に「脱藩の道」(※3)で撮影した実写の役者の表情、動きなどの演技も取り入れながら、CGアーティスト、AIエンジニア、撮影チームが一丸となって、手作業で制作した。 〈「リアル龍馬」の顔について〉 顔の再現は映画『竜とそばかすの姫』のCGを手掛けた「デジタル・フロンティア」が担当。顔を構成するCGの工程要素は主に3つあり、最初にコンピューター上で立体像をつくる「モデリング」、次に表情を付ける「フェイシャルリギング・アニメーション」、最後に現実空間のライティングをCG上で再現し実写素材に対しての合成を行う「ライティング・コンポジット」という工程を経て、坂本龍馬を再現した。 顔の造形は、公式に本人と認定されている6種類の古写真を参照し、写真から把握できないアングルは銅像なども参考にしながら、産毛や表情の変化、肌への光の当たり方などを緻密にCGで造形し、再現した。 また、表情は「ライトゲージ」というドーム状の機材を使って、映像中で坂本龍馬を演じた役者の表情を30パターンほど3Dスキャンし、補完した差分も加えて、最終的に約60パターンの表情を制作。それらの組み合わせで表情アニメーションをつけており、血流の変化による顔の赤みなども再現している。 肌の質感は、脱藩当時の年齢に近い30歳前後の日本人の肌の色と、凸凹情報をスキャンしたデータを使用することで、人間と見分けのつかないリアルさを追求。さらにロケ撮影にCGチームも同行し、夕日のシーンや雨のシーンなどの光の正確な情報を現地で収録し、CG上のライティングに反映している。 〈「リアル龍馬」の声について〉 声の制作は、CG映像や仮想現実空間の制作などの事業を展開する「ORENDA WORLD」が担当。1万以上の骨格と声のサンプルを基に、AIが顔・骨格・年齢などの情報から坂本龍馬の声の特徴を推定して生成し再現した。 AIが苦手とする分野の方言については、「ボイスコンバージョン」という手法を用いて、土佐弁を話せる声優さんが発した声を、AIで再現した坂本龍馬の声質に変換していくというアプローチを行い、リアルな方言を追求した。 〈「リアル龍馬」の映像演出について〉 従来の「Yakult1000」CMシリーズを担当する箱守監督は、細かい表情の指示や、ぼかした被写体にゆっくり焦点を合わせていくフォーカス・アウトという技法など、あえて通常の役者と同じ演出をすることにこだわり、生き生きとした「リアル龍馬」を表現した。 さらに、新テレビCM放送に合わせて「リアル龍馬」を忠実に再現した「リアル龍馬像」も制作。「リアル龍馬像」にはオリジナルの「リアル龍馬の声」を聞くことができる音声ボタンが付いており、押すと再現された坂本龍馬の声でオリジナル音声を楽しむことができる。 「リアル龍馬像」は1月26日から2月29日まで、高知県のひろめ市場にて設置、一般公開される。 ※1:実写映像中で実際の人間と見分けがつかないように精巧に作られたCGモデルのこと ※2:Visual Effects(ビジュアルエフェクト)/視覚効果 ※3:当時の坂本龍馬がたどった土佐(現在の高知県)の高知から梼原ゆすはら、伊予(現在の愛媛県)の大洲・長浜を経て、長州(現在の山口県)の下関へと至る道のり
リアルサウンド編集部