サメとビーチをシェアするには、「サメ予報」の実現へ進む研究、米でホホジロザメ目撃増加
ドローンの役割
お気に入りのビーチに、その日、特にサメが出やすいかどうかを予報で知ることができたらどうだろう。それは意外と不可能ではないかもしれない。 ナショナル ジオグラフィックのテレビ番組「ざわつく!ビーチのサメ群団」では、ドローンの活用がサメ研究に革命的な変化をもたらし、海岸近くにやってくるサメの動きを追跡するのに役立っていることを紹介している。ドローンの画像とともに、海水温や捕食者の存在、サメが若いか、または妊娠しているかなどの要素を分析することで、サメがいつ、なぜ人間のすぐそばまでやってくるのかをより明確に理解できるようになる。 米カリフォルニア州立大学ロングビーチ校サメ研究室の室長を務めるクリス・ロウ氏の研究を追いながら、番組はカリフォルニア州南部の海岸沿いで、季節的に急増するホホジロザメの目撃情報を調査した。サンタバーバラ沖で撮影されたドローンの映像は、人間に気づかれずにすぐそばまで接近し、サーフボードの下を悠々と泳ぐサメの姿をとらえている。 浅瀬にいるこれらのサメのほとんどは赤ちゃんザメだ。浅瀬の方がシャチやおとなのホホジロザメなどの捕食者に狙われる危険が少ないからだという説がある。 一方、そこから少し南下したサンディエゴ沖によくやってくる数十匹のカリフォルニアドチザメの多くは、妊娠しているという。卵を温めるニワトリのように、妊娠したサメは温かい海水に引き寄せられるのだろう。 調査結果は科学的に説得力があり、実用化も可能だ。サメが集まりやすい海の状態がわかれば、ビーチに行く際にいつもより注意すべき点を、より正確に人々に知らせることができる。既に海水浴客は、離岸流の発生や嵐の接近などの注意報には慣れている。サメに関する予報があってもいいのではないだろうか。 「サメを引き寄せる法則が何なのかを理解すれば、どこにサメが現れるかを事前に予測することもできるでしょう」と、番組プロデューサーのジェニー・ハモンド氏は言う。
文=Kristen Demoranville/訳=荒井ハンナ