【足立区夫婦刺殺】評判は相当悪かった…フィリピン人容疑者が思い描いた〝ジャパニーズ・ドリーム〟
量販店内で陳列棚のコスメ商品に手をやる女性の姿。一見すると、なんでもない日常風景だが、実はこのとき、彼女はすでに「逃亡犯」の身になっていた──。 【悩殺ポーズ!】美しすぎると話題…太ももを露わにし、ソファーでポーズを決めるモラレス容疑者 1月18日に足立区の民家の床下から、住人の高橋徳弘さん(55)と妻希美江さん(52)がビニールシートにくるまれた遺体で発見された事件。写真は死体遺棄容疑で逮捕されたフィリピン国籍のモラレス・ヘイゼル・アン・バギシャ容疑者(30)に偶然出会った知人が撮ったものだという。そのときの様子を彼女は語る。 「彼女に会ったのは17日の夜でした。彼女は『バンソウコウ、バンソウコウ…』と呟きながら何かを探している様子で、声をかけてもどこかイラついていました。そのときはたまたま機嫌が悪いだけかなと思いましたが、19日のニュースを見て愕然としました」 モラレス容疑者は19日未明に福島市内のホテルで身柄を確保され、逮捕。共犯とみられる同じくフィリピン国籍で職業不詳のデラ・クルース・ブライアン・ジェファーソン・リシン容疑者(34)も22日に逮捕された。 ’16年ごろに来日したモラレス容疑者は、都内のフィリピンクラブで働いていた。当時の関係者は話す。 「浅草の『G』という人気店で『アミ』という源氏名で働いていました。彼女は実はオーナーの親族の男性と結婚していましたが、もちろんお客さんには内緒です。20人近くの若い女の子が在籍していて、近隣の錦糸町や上野などに比べるとリーズナブルな料金とあって、連日繁盛していましたよ」 『G』に在籍していた当時は、これまでに週刊誌やテレビで報じられた「55億円の詐欺を働いた地面師」のような破格の〝太客〟がついていたことなどもあって、たびたび高級ブランド品をプレゼントされるなど、かなり羽振りの良い時期もあったようだ。 だが、やがて地面師の男は捜査の手が迫ってきたことから国外逃亡、のちに逮捕されてしまう。また彼女自身の身辺にも〝転機〟が訪れることとなる。 「オーナーの親族の男性とはアミの男性関係などからモメた末に離婚。まだ小さかった子どもはアミが引き取り、フィリピンの親族に預けていました。すると今度は『G』が当局の摘発を受けて突然閉店してしまうんです。これはお店の経営者が、在籍する女の子の大半に偽装結婚によってビザを不法に取得させていたことによるものでした」(同前) その後、モラレス容疑者は上野のクラブで働くようになるのだが、ここでの彼女の評判はよくない。 「何人もお客さんからお金を借りては、返済をしないんです。同僚の女性からも10万円などの借金をすることもあったそうです。返済を巡ってお客さんがお店にクレームを入れると、今度は違うお店に移籍。そのうち上野にいられなくなり、別の歓楽街に離れていたこともありました」(同前) フィリピンクラブにつとめる古参女性も苦笑気味に証言する。 「お客さんに頼んで、上野のお店に近いマンションを借りたの。13万円もする家賃も、自分の給料で払うと言って。外国人だと契約も大変だからと、お客さんの名義で契約させるのよ。言葉巧みに『アナタダケ』と言われて、『彼女が払う約束なら』と、お客さんは恋愛感情もあるから信じちゃう。 でも、やっぱり家賃滞納を繰り返してお客さんが全部払う羽目に。そのうち連絡が付かなくなって逃げちゃうのよ。他のお店でも借金だらけで、そんなに借金を踏み倒す女の子なんか、そうそういないから有名だったわよ」 一方のデラ・クルース容疑者はモラレス容疑者の同郷の幼馴染で、技能実習生として来日していた。自身の名前をチャンネル名にした動画投稿サイトやSNSには、昨年秋の再来日の際にフィリピンの自宅で大量の缶詰などの「故郷の味」をスーツケースに詰めたり、日本のアパートの部屋を紹介する姿を公開していた。モラレス容疑者が住む足立区内で、事件の2ヵ月前に彼女と再会を喜びながら焼肉店で乾杯する姿もあった。 「研修先での話や動画などを見る限りでは、よくいる陽気なフィリピン人のお兄ちゃんという感じで、とても殺人事件を起こすようなタイプとも思えない。女が彼に話した被害者夫妻に対する恨みつらみを鵜呑みにしたのか、報酬に目がくらんだのか……」(民放局記者) 浅草の『G』が大規模摘発される原因にもなった「偽造結婚」。実はフィリピンクラブで働く女性の中には少なからず、こうしたグレーゾーンの者がいるという。それは’90年代から’00年代フィリピンクラブ全盛期に主流だった「興行ビザ」の発給が、米国などから「人身売買」だと問題視され、’05年から審査が大幅に厳格化されたことも要因だ。これにより、来日するフィリピン人女性の数は激減した。 実質的に興行ビザが取れなくなった反動で、結婚ビザに注目が集まったと別のフィリピンクラブ関係者が話す。 「(フィリピン人の)観光ビザでの来日には手続きが厳しいうえ、親族ビザでは就労制限もあります。その制限がない結婚ビザは、フィリピン人女性にとってはまさにプラチナカード。偽装結婚では毎月5万円ほどブローカーに支払うと言われていますが、アルバイトなどで稼げば十分に元が取れる。結婚後にビザが1年間取得できて、次の更新で延長が決まったら、離婚しちゃうというカラクリです。以前は3年間の延長でしたが、いまは1年。それでも就労制限なしですから大きいでしょう」 この関係者によれば、悪質なケースではお客と結婚することもあるそうだ。女性にしてみれば「偽装結婚」だが、もちろんお客のほうはガチ恋だ。そのうち女性が家に帰らなくなったり、あからさまなセックスレスになるなど、男性に疑念を抱かせつつもなかなか離婚まではしないのだという。 「歓楽街でちょっと飲めや歌えやと楽しくやれば軽く2万円超えです。お客さんは気前よく支払う金額も、フィリピンでは1ヵ月分の平均所得に相当します。〝浅草時代のアミ〟のように太客を掴めればなおさらでしょう。 金銭感覚が変わってしまう女の子も多いですが、堅実な子はビジネスを始めたり貯蓄に回したりしています。でも、モラレス容疑者はなぜあちこちで借りパクを繰り返していたのか…」(同前) 事件の発端も、被害者夫妻の長男と交際していたころに、多額の借金を返済しなかったことや、過去の離婚歴などで、家族に交際を反対されていたことが原因とみられている。 「長男への借金トラブルも警察が関わるほどにこじれていました。それもあって、事件解明は早かったのですが、家の中の貴金属など金目のものは残されたまま。お金目的というよりは強い恨みが先立った形なんでしょうか……」(前出・民放局記者) SNSにアップされた愛くるしい表情の写真からはまったく想像がつかない、ふてぶてしさばかりが目立ってしまうモラレス容疑者の一連のエピソード。彼女にとっての〝ジャパン・ドリーム〟はカネへの異様な執着だけだったのだろうか──。 ※「FRIDAYデジタル」では、皆様からの情報提供・タレコミをお待ちしています。下記の情報提供フォームまたは公式Xまで情報をお寄せ下さい。 情報提供フォーム:https://friday.kodansha.co.jp/tips 公式X:https://twitter.com/FRIDAY_twit
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