小島慶子さん「たまには母業の強制終了を!」“自分”を取り戻す時間が必要です|STORY
ね。だから「ママは、ママになる前から生きている〇〇子さんなんだ」と子どもが知るのは、決して悪いことではないのです。 まずは一人称を「わたし」にしてみるのはどうでしょう。そして夫を名前で呼ぶ。子育てしていると「〇〇ちゃんママ」と呼ばれることが増えてモヤッとするでしょう。なんだか名前をなくして、誰にも見えない存在になっちゃったみたい、と。だから、家族の前で自分のことを「ママ」ではなく「わたし」と言い、夫婦は名前で呼び合うことがとっても大事なのです。子どももそれを見て、ママでありパパである人たちが、親子とは違う夫婦という関係や、その人自身でいる時間を生きていることを感じることができます。 とはいえ、それで子どもの手がかからなくなるわけじゃありません。息子たちが幼かった頃、私はときどきママ業の限界に達しては、プチ家出をしていました。夜、息子たちがなかなかご飯を食べ終わらなかったり寝る支度をしなかったりしてイライラマックス!「うわーもう、毎日毎日こんなこと嫌だああああ私の人生なんなんだああああ」となって、夫と息子たちを置いて近所に家出。住宅地をぐるぐる歩き回り、マンションのロビーの隅っこにしゃがみ込んで蚊に刺されたりして結局はすぐ家に戻るのですが、そうしないではいられないほど苦しくなることが何度もありました。帰宅すると息子たちに「急に出ていって怖い思いをさせてごめんね」と謝りました。幼い息子らを泣かせてしまって、ダメなママだなあ、と激しい自己嫌悪に陥ったものです。今思うと別にダメじゃないんですけどね。よく頑張ったよ慶子。 夫も話を聞いてくれたけど、あの頃プチ家出中に、やっぱりプチ家出中の人と偶然出会ったりしていたらよかったかも。「まじやってらんないですよね」「ブチ切れて出てきちゃいましたよ」「ママ業つらすぎじゃないすか」「子ども可愛いけど大変、でも可愛い、けどやっぱ大変!!!」と言い合って、「まあでも帰りますか」なんてね、できたらよかった。 ママOFFは、一人称を取り戻す大事な時間。自分に名前で呼びかけて、いっぱい話を聞いてあげましょう。 文/小島慶子 撮影/河内 彩 ※情報は2024年10月号掲載時のものです。