定年後のほとんどの日本人が誰にも言えず悩んでいる最大の問題…「睡眠」と向き合うための「とっておきの秘訣」
睡眠時間は気にしなくていい
でも、そのあとの入浴が大変です。以前は、身体を洗うなど無意識でやっていましたが、今はちょっと身体を動かすだけであちこちが痛い。身体を洗うのは関節をものすごく動かす動作なのだと、この歳になって気づきました。 洗髪してシャワーで流すときも、へたに身体を動かすと痛くなるうえ、お湯が耳の中に入ってしまい、始末が悪い。日常生活のなかで、「やはり若い頃とは身体が違ってくるんだなぁ」と実感することが本当に多くなりました。 ベッドに入るのは、午後一〇時から一一時頃です。睡眠は、できるだけ七時間はとるようにしていますが、夜中にトイレに起きたりするので、朝までずっと眠り続けることはできません。 ちなみに、二〇二一年にOECD(経済協力開発機構)が三三ヵ国を対象に行った調査では日本人の一日の平均睡眠時間は七時間二二分で、三三ヵ国中最も短く、全体の平均である八時間二八分より一時間以上短かったと報告されています。 ただ、歳をとってからの睡眠は、時間が長ければいいというわけでもないようです。 厚生労働省が出している「良い目覚めは良い眠りから 知っているようで知らない睡眠のこと」というパンフレットには、「リタイア世代では8時間以上の睡眠を必要とする人は多くありません」と書かれているんです。 さらに、このパンフレットによれば、睡眠は、目覚めたときに「休養感」(しっかり休めたなという感覚)があることが重要だということです。 しかし、歳をとると夜中にトイレに行きたくなって、睡眠が中断されることが多くなる。私もそうですし、読者のなかにもそういう方が少なくないと思います。 人によっては、トイレに行くための動作に身体の痛みが伴う人もいるでしょう。私の場合、ベッドから降りるとき、身体の右側から降りるので、右腰が痛くなることがあります。どうしても降りる側に力が入ってしまうからです。 個人差もあるでしょうが、目覚めたときの「しっかり休めたな」という感覚は、加齢とともに得にくくなるのではないか、というのが私の実感です。 それでも、睡眠の質や時間について、私はあまり深刻にとらえていません。休養感が足りないときは昼寝をすればいい、五時間で目が覚めたときはベッドの上で身体を休めているだけでいいんだと思い、そうしています。 さらに連載記事〈定年後、「絶望の30年」を過ごす人と「幸せな30年」を過ごす人の分かれ道はここにあった…3000万人の人たちが誤解している「お金の使い方」〉では、老後の生活を成功させるための秘訣を紹介しています。
丹羽宇一郎