過渡期の男子短距離界「新顔の9秒台スプリンター」現れず…パリ五輪で金メダル目指す「リレー侍」にも影響
◇記者コラム「パリ目撃者」 ◇30日 陸上 日本選手権最終日(新潟・デンカビッグスワンスタジアム) パリ五輪代表選考会を兼ねて行われ、男子100メートルは坂井隆一郎(26)=大阪ガス=が10秒13で大会2連覇を達成した。ただ、男子短距離界は過渡期を迎えているといえそうだ。 男子100メートルを長年引っ張ってきた桐生祥秀(日本生命)は決勝で10秒26の5位。リレーでの代表入りの可能性を残すが、個人では代表入りが絶望的となった。東京五輪男子代表の小池祐貴(住友電工)は今大会の準決勝で落選。山縣亮太(セイコー)、多田修平(住友電工)はコンディションが整わず、今大会の出場を見送った。 5月にエースのサニブラウン・ハキーム(東レ)が9秒99をマークしたものの、彼に続く新顔の9秒台スプリンターはいない。山崎一彦強化委員長は「陸連としても『9秒台を何名出せるか』を1つの目安にしているが1人しか出せなかった」と厳しい表情をみせる。 また、2016年リオデジャネイロ五輪で銀メダルを獲得し、「リレー侍」と脚光を浴びた男子400メートルリレーにも影響する。パリ五輪での「金メダル獲得」を目標とするが、現状では楽観視できない。パリ五輪までにリレーで1試合実戦を積む予定で、「スケジュール的にきついが、本番のシミュレーションをしていく。リレーも準備していかないといけない」と危機感をつのらせた。(広瀬美咲)
中日スポーツ