兵庫県・斎藤知事「不信任の議決」が成立したら? 知事が“法的に”とりうる「起死回生・必勝の一手」とは
斎藤知事が「続投を選んだ場合」の「見通しと勝算」は?
首長の不信任の議決が行われた場合、首長は辞職するか、10日以内に議会を解散しなければ、失職することになる。 斎藤知事は、不信任の議決が行われた場合、「法律に則って、さまざまな選択肢を考える」と述べている。これまで続投の意向を表明しており、議会を解散する可能性も十分に考えられる。 もし、斎藤知事が辞職せず「続投」を選んだ場合、どのような見通しが考えられるか。 三葛弁護士:「県議会議員の選挙が行われます。県議選の結果、知事に反対する議員が過半数を占めた場合、議会は再度の不信任の議決を行うことになるでしょう。 再度の不信任の議決を行う場合、決議要件が緩和されています。3分の2以上の議員が出席し、過半数の賛成があれば成立します。この場合、知事は失職します(地方自治法178条2項・3項後段参照)」 現時点で、県議会に斎藤知事の「味方」は1人もいない状態である。斎藤知事が議会を解散しても、県議会議員の選挙が行われれば、よほどのことがない限り再び斎藤知事を支持しない議員が多数を占め、再度の不信任の議決が成立する公算が強いと考えられる。 そうなれば、結局、斎藤知事は失職せざるを得ない。結局、県議会の議員が入れ替わるだけで、斎藤知事が任期を全うできなくなるのは同じではないのか。 もし、斎藤知事に「勝算」があるとしたらどのような場合か。 三葛弁護士:「議会を解散したうえで、県議会議員選挙に合わせて“自発的に”知事も辞任し、出直し知事選挙と県議会議員選挙を同時に行う、ということも論理的にはあり得ます。 斎藤知事は、県民から『頑張れ』といった励ましの声が多いことを強調しています。また、SNS等の一部では、兵庫県民によるものかどうかはわかりませんが『斎藤知事がんばれ』というハッシュタグがトレンド入りしています。 彼の頭の中では、県議会やメディアはともかく、自分が多くの県民から支持されているという認識なのだと考えられます。 もし、その認識が客観的な事実と合致しているとすると、自身が出直し選挙に出馬すれば有権者の多数の票を得て当選することは可能でしょう。 加えて、県議会議員選挙で、それぞれの選挙区に自分の味方をいわば『刺客』として立候補させ、当選させれば、出直し選挙後の県政を安定させることができるでしょう」 斎藤知事は、辞職しない理由として、「県民からの付託」「県民のため」ということをたびたび述べてきた。斎藤知事が最終的にどのような形で「民意」を仰ぐことになるのか。注目される。
弁護士JP編集部