北陸の冬 ラニーニャか平常年かは50対50 北極振動 海水温やJPCZの動向が鍵
降雪量を決めるもう一つの重要なファクター JPCZの動向にも注目
大陸からの冷たい風は、朝鮮半島の付け根付近に位置する長白山脈で二分されます。その後は、風下側の日本海上で再合流、日本海からの大量の水蒸気を含んだ気流は行き場を失い激しい上昇気流をおこします。ここで形成される発達した帯状の雪雲を「日本海寒帯気団収束帯(JPCZ)」と呼びます。JPCZが北陸地方のどこを指向するかは、直前まで見極めが必要となります。西まわりの西よりの風と北まわりの北よりの風とのせめぎあいで強雪の予想される地域が刻一刻と変わるためです。 降雪は強い寒気と降水の産物。強い寒気があっても降雪のもととなる降水域が該当エリアにあまりかからなければ、降雪量は多くはなりません。その一方、強烈な寒気ではなくても、JPCZを中心とした、風の挙動によっては、強雪エリアがかかり続ければ、平野部でも短時間のドカ雪となる可能性もあります。「強い寒気必ずしも大雪とはならず」であり、「そこそこの寒気とJPCZの合わせ技でも大雪にはなる」ということもあるのです。 現実には、どこでどのくらいの降雪量になるかは、季節予報の段階では分からず直前まで見極めをしなければなりません。今冬も、12月のシーズン初めから短時間強雪の可能性もあるものとして、雪への備えは早めに計画的に進めるようにして下さい。
日本気象協会 北陸支店 河原 毅