イタリアの銀行ウニクレディトは２３日、ドイツのコメルツ銀行株１１．５％を取得するデリバティブ（金融派生商品）取引を行ったと明らかにした。取引が完了すれば保有率を２倍以上の２１％に上げられる。フランクフルトで２０２０年２月撮影（２０２４年　ロイター／Ralph Orlowski）

［ミラノ／フランクフルト　２３日　ロイター］ - イタリアの銀行ウニクレディトは２３日、ドイツのコメルツ銀行株１１．５％を追加取得するデリバティブ（金融派生商品）取引を結んだと明らかにした。欧州中央銀行（ＥＣＢ）の承認が得られれば取引が完了し２１％を持つ筆頭株主に躍り出ることになるが、ドイツのショルツ首相は「非友好的な攻撃」と反発した。 ニューヨークでのイベントに出席したショルツ氏は「非友好的攻撃、敵対的買収は銀行にとって良いことではない」と述べ、ＥＣＢに圧力をかけた。 この発言を受けて２３日にコメルツバンク株は５．７％急落し、ウニクレディトは３．３％安となった。 ウニクレディトは今月、ドイツ政府が保有する４．５％株式を含め９％のコメルツ銀行株を取得し、コメルツ銀との合併に意欲を示している。コメルツ銀の経営陣や行員が抵抗する中、ドイツ政府は２０日、コメルツ銀が独立を志向しているとし、政府保有株の追加売却は当面しない方針を示していた。 ウニクレディトは９％保有した段階で、ドイツ政府に次ぐ第２位株主となっていた。保有率が２１％になれば、ドイツ政府（１２％）を上回り筆頭株主になる。 ＥＣＢにはコメルツバンク株保有率を最大２９．９％まで引き上げられるよう申請。ＥＣＢは６０日以内に可否を判断する必要があるが、９０日に延長もできる。 元ＥＣＢ当局者イグナツィオ・アンジェローニ氏は、「ボールは明確にＥＣＢ側にある。追加取得を承認すればウニクレディトは主導的立場に立てるくらい保有を増やすことになる」と述べた。 コメルツバンクは２３日、ウニクレディトによる追加取得の動きがあることを認め、「戦略的選択肢を常に利害関係者の利益を考慮し、責任を持って検討する」との立場を表明した。 イタリアのタヤーニ外相はウニクレディトの動きを擁護。「欧州統合派と口先で言うだけでは十分ではない」とコメントした。