タウンムービー「上飯田の話」関西2館で上映、蓮實重彦がコメント
神奈川・横浜市泉区上飯田町を舞台とする映画「上飯田の話」が、7月13日から19日まで大阪のシネ・ヌーヴォ、7月27日から8月2日まで兵庫・元町映画館にて上映されることがわかった。 【動画】映画「上飯田の話」予告編はこちら 本作は3編のショートストーリーが連結された“タウンムービー”。上飯田ショッピングセンターを中心に「いなめない話」「あきらめきれない話」「どっこいどっこいな話」が繰り広げられる。これが初の劇場公開作となる監督のたかはしそうたが町民と交流しながら物語を制作。竹澤希里、本多正憲、吉田晴妃、黒田焦子、日下部一郎、生沼勇、荒川流らがキャストに名を連ね、上飯田町の住人も参加した。 映画評論家の蓮實重彦は、本作について「ショットの的確さを超えた連鎖を前にしてわたくしたちにできることは、ひたすら途方に暮れつつも、これこそが映画にほかならぬと密かに、だが、まぎれもない確信をもってつぶやくことでしかない」とコメントしている。YouTubeでは予告編が公開中。たかはしは今回の上映にあたって「住みます監督」として神戸に滞在し、地域宣伝を行っている。 ■ たかはしそうた コメント 祖父母が住んでいた上飯田町を散歩していたとき、上飯田ショッピングセンターを見つけました。いかにも地元に根ざした個人商店が連なり、地元の人が通い、独特な時間の流れがありました。地元の方と関わる中で、この町は徐々に高齢化が進み、人もまばらになっていることがわかりました。つまりこの場所で感じた時間の流れは、今撮らなければまた別のものになってしまう。なんとかこの町の今の時間の流れを映画にすることはできないだろうかということが製作のきっかけとなっています。今回の上映で、見ている人と一緒にこの町の時間を共有できたら嬉しいです。 ■ 蓮實重彦 コメント 循環が知らぬ間に線状となるかに見え、しかも現実──とは何か──がフィクションに限りなく接近するかとも思えるこの新人作家の作品は、紛れもない傑作である。そのショットの的確さを超えた連鎖を前にしてわたくしたちにできることは、ひたすら途方に暮れつつも、これこそが映画にほかならぬと密かに、だが、まぎれもない確信をもってつぶやくことでしかない。それがたまたま日本映画であったことを祝福している余裕など、誰にもあるまい。これは、世界──とは、だが、何を意味するのかも知らぬまま──に向けてつぶやかれた、途方もなく貴重な、したがって聞き取り難くもあるつぶやきである。