農作業事故死亡者238人 22年 10万人当たりは過去最多
農水省は22日、2022年に発生した農作業事故の死亡者は238人だったと発表した。前年から4人減ったが、農業従事者10万人当たりでは前年より0・6人増の11・1人で過去最高。全産業平均の1・2人と大きく開きがある状況だ。同省は26年までに死亡者数を半減させる新目標も設定。熱中症予防や農機作業の安全確保に向けた研修会の受講を農家に促す。 22年の農作業死亡事故のうち、農機が関わるものが最も多く64%(152人)を占め、その約半分(72人)が「機械の転倒・転落」が原因だった。農機別では、乗用型トラクター(62人)、歩行型トラクター(21人)、農用運搬車(16人)、自脱型コンバイン(11人)の順に死亡事故が多かった。 熱中症が原因の死亡事故は12%(29人)を占めた。同割合は増加傾向で、同省は近年の猛暑に加え、「農業は一人作業が多く、周囲の目が届きにくい」(技術普及課)ことも背景にあるとみる。 死亡者は高齢者が多く、80歳以上が全体の42%、65歳以上では86%を占めた。
建設業のほぼ倍 他産業よりも高水準
就業人口10万人当たりの死亡者数は、過去最高だった20年の10・8人を上回った。危険な作業が伴うとされる建設業の5・9人のほぼ倍に上るなど、他産業より高い水準が続いている。 同省は同日、24年度の農作業安全対策の推進方針を「学ぼう!正しい安全知識~機械作業の安全対策と熱中症の予防策~」とすると発表。「強化期間」として5~7月に熱中症対策、12月~翌年2月に農機事故の安全知識の向上を中心とする農作業安全研修をそれぞれ推進する。同省は、24~26年の3年間を集中対策期間とし、26年の農作業事故死者数を、22年から半減させて119人以下とする目標も示した。