センバツ高校野球 二松学舎大付 球児を食で支える 「みんな孫」やりがい /東京
第95回記念選抜高校野球大会(毎日新聞社、日本高校野球連盟主催)に出場する二松学舎大付の合宿所で、2人の調理スタッフが食事を作り、選手の生活を支えている。部員約40人分の食事を用意するのは大変だが、「選手からパワーをもらっている」とやりがいを感じている。【小林遥】 今月上旬の午後3時過ぎ、千葉県柏市にある野球部の合宿所の調理場で、調理スタッフの玉江和幸さん(74)と葛西きぬえさん(83)が夕飯の支度を始めた。この日の献立は、タンドリーチキン、ナスとマカロニのチーズ炒め、ちくわの炒め物。手際よく調理を進めるうちに、チキンの香ばしい匂いが辺りに漂った。 2人は大学の寮の調理スタッフを経て、2019年から同校野球部の合宿所で働いている。敷地内の建物に住み込み、午前3時から朝食を作り始める。平日の昼は弁当のため調理はしないが、土曜は3食とも作る。 部員は体作りのため、昼は800グラム、夜は1200グラムの米を食べることになっている。今は5升の保温ジャーを3個使用しているが、4月になり新入生が入ってくると4個必要になるという。米研ぎだけでも大変な仕事だが、玉江さんは「みんな孫みたいなものだからね、頑張れる」と笑顔で話す。 心がけていることは「おいしく食べてもらうこと」(玉江さん)。毎食後、食べ残しがないかを見て、選手の味の好みを確認するようにしている。からあげや豚肉のしょうが焼きなどの肉料理がやはり人気。選手の好みに応じて、予定しているパスタの味を変更したこともあるという。 試合の日は自宅のテレビの前で応援するという2人。自分たちの料理を食べて大きくなった選手たちに、玉江さんは「本当に頑張ってもらいたいの一言です」、葛西さんは「一戦一戦頑張って、ぜひ優勝してもらいたい」とエールを送る。 選手にとって食事はリラックスできる楽しみな時間で、2人に感謝の気持ちを持っている。カレーが好きという押切康太郎主将(3年)は「応援してくださる方を大切にしたい。優勝を見せられるように頑張ります」と力強く話した。 ※17日から新学年で表記します。 〔多摩版〕