スラポンニチレイフーズ タイの「特から」専用工場に迫る 独自の加工・検査技術に強み
「タイのスラポンニチレイフーズ(SUNIF)は、日本向け冷凍唐揚げの製造拠点として先駆け的存在だ。そのチキン加工技術はいまや世界トップクラスと自負している」とニチレイフーズの松尾哲哉取締役専務執行役員は力を込める。記者はSUNIFが有する2工場のうちテパラク工場を視察。主力品「特から」の生産に特化し、独自の創意工夫が随所に光るこだわりの製造ラインだ。 また同社は早くからSDGsに関わる活動を推進。従業員に優しい経営方針も掲げ、社内イベント等を積極的に行っていることも特筆される。
ノウハウ結集、おいしさ・安全性を追求
SUNIFは日本のニチレイフーズが51%、タイのスラポンフーズが49%を出資する合弁企業で、設立35年を経過した。当初はエビを中心に水産フライを生産していたが、1994年にチキン加工品の製造を開始。以降、日本における冷凍唐揚げ市場の成長を支えてきた。そしてニチレイフーズでは2017年発売の「特から」が大ヒット。テパラク工場は改修を経て、19年に同品の専用工場に生まれ変わった。なおSUNIFは水産加工品の製造を11年に終了し、スラポンフーズに引き継いでいる。 現在のテパラク工場は、全工程にわたりこれまで培ってきたノウハウを結集したものといえる。 原料の選別では、オリジナルのX線検査ロボットで硬い骨を除去するなど初期段階の安全性を高めた。揚げ工程は独自製法「三度揚げ」の「トリプルフライ」を採用。業界で初めて1ラインに3つのフライヤーを導入し、おいしさを徹底的に追求した。肉にしっかりと調味液をしみ込ませた後、第一フライヤーで表面に火を通し、第二フライヤーで旨みを閉じ込め、第三フライヤーで衣をカラッと仕上げる。その間、余熱を利用して肉にじっくり火を通すこともポイント。 急速凍結した後、X線検査機を再び通過させる。新開発した独自の仕様となっており、1台で二重の検査をスピーディーに行い、品質の信頼性と歩留まりをさらに高めている。なお同工場の凍結能力は日産25トン。 一連の工程ではトレーサビリティシステムを確立。すべての画像・検査データは1年半ほど保存し、あらゆるユーザーの問い合わせに対応可能だ。