ゴジラを博多人形で表現 1体385万円 完成まで半年間の舞台裏
ゴジラ70周年記念作品『ゴジラ-1.0』が3日に全国で公開。配給会社によると、公開からの3日間で観客動員数64万人、興行収入が10億円を突破し、観客動員ナンバーワンを達成。そんな話題のゴジラが、伝統工芸の博多人形とコラボレーションしました。 【画像】生誕70周年 最新作映画『ゴジラ-1.0』 『ゴジラ』70周年記念として発表された博多人形『追憶の呉爾羅(ゴジラ)』。手がけたのは、博多人形師の中村弘峰(ひろみね)さん(37)。創業100年以上の歴史を持つ『中村人形』の4代目で、第70回日本伝統工芸展朝日新聞社賞をはじめ、これまで数々の賞を受賞しています。
■ゴジラに描かれた14体の怪獣
1954年に公開された初代『ゴジラ』がモデルになっている『追憶の呉爾羅』は、横幅60センチ、奥行60センチ、高さ55センチ(丸台座込)で、重さは約10キロ。伝統工芸である博多人形の彩色技法を用いて、日本的で格調高い雰囲気に仕上げています。 体に描かれているのは、歴代のゴジラ作品に登場したキングギドラ、モスラ(成虫)、モスラ(幼虫)、アンギラス、ラドン、ガイガン、ミニラ、メカゴジラ、ジェットジャガー、キングシーサー、エビラ、ヘドラ、ガバラ、メガロの14体の怪獣です。 ボディーは、ゴジラの登場シーンに欠かせない青い海を想起させる彩色がベース。胸に描かれたキングギドラや爪などには24金、右脚部分のメカゴジラや、背びれにはプラチナが使用されています。また、グリーンの瞳には、“自然が人間の行いを見ている”というメッセージが込められているそうです。
■1体完成までに半年 博多人形師のこだわり
小学生の頃、ゴジラの新作映画が公開されるたびに劇場に足を運び、魅了されたという博多人形師の中村さん。『追憶の呉爾羅』の構想から、1体完成させるまでに半年を費やしたそうで「(モデルにした)第1作目の『ゴジラ』は、ちょっと粗雑で左右不均等なところがあり、リアルに気持ち悪いと思えちゃうところ…僕らには真似できません。ただ、再現するとなるとちょっと厄介です。博多人形の技法で制作するので、石膏で型取りします。ちなみに原型は粘土で作るのですが、重みで足が潰れていく。デザイン画通りに仕上げるためには、粘土を足してはバランスをとるという作業の繰り返しでした」と、苦労を明かしました。