広西千年古鎮が新しいトレンドで若者を魅了
【東方新報】古鎮ならではの「ラテアート」を楽しみ、漢服を身にまとい古い街並みを歩き、伝統的な嶺南(広西・広東<Guangdong>一帯)スタイルの建物の前で広東省潮汕地区の伝統舞踊「英歌舞」を鑑賞する――最近、中国新聞社(CNS)記者は広西チワン族自治区(Guangxi Zhuang Autonomous Region)賀州市(Hezhou)の黄姚古鎮を訪れ、静かな古風の町がどのようにして新たなトレンドを取り入れ、「Z世代」の若者を惹きつける新しい観光体験を提供しているのかを感じ取った。 黄姚古鎮は、国家5A級景区であり、300以上の明清時代の古建築が保存されている。その中でも、千年の歴史を持つ「帯竜橋」は、中国の特別切手にも選ばれたことがある。 現在の黄姚古鎮は、伝統的な文化と現代的なトレンドが融合しており、独特な嶺南建築とおしゃれな民宿やカフェなどの新しい業態が共存し、この千年の古鎮に新たな活力をもたらしている。 「昔は、村の人びとは家の前で鶏やアヒルを飼っていたので、街並みは汚れて散らかっていたが、今ではすっかり変わりました」と、古鎮に長年住む韋植有(Wei Zhiyou)さんは語る。彼は義父から受け継いだ黄精酒(中国伝統の薬用酒)の醸造技術を伝承し、2005年に妻と一緒に古鎮で酒造所を開業した。年々、黄精酒は古鎮の発展とともに人気を博し、今では香港の商人が定期的に大量に購入するようになった。現在、韋さんの酒造所は3店舗に増えた。 黄姚古鎮がますます多くの人びとに訪れられるようになると、「家の近くで稼ぐ」というビジネスモデルが古鎮の住民にとって主流となった。多くの村民は古い家屋を民宿に改造し、休日には予約が取れないほど人気だ。2023年のデータによると、黄姚古鎮景区は約60万人の観光客を迎え、その約46パーセントは粤港澳大湾区(広東・香港・マカオグレーターベイエリア、Guangdong-Hong Kong-Macau Greater Bay Area)からの観光客だった。 観光客の体験を豊かにするために、黄姚古鎮は近年、伝統文化を掘り下げ、英歌舞や魚竜節、柚子灯節などの民俗イベントを開催している。また、伝統文化を取り入れた「国風ショー」やエレクトリック音楽フェスティバルなど、トレンド要素を取り入れたイベントも行い、若者を引き寄せている。 多くの若者が古鎮の将来に期待を抱き、一線都市から故郷に戻って起業するようになっている。「90後(1990年代生まれ)」の黎秀明(Li Xiuming)さんもその一人だ。彼女の民宿の前にはレトロなデザインのバイクが停まっており、外壁に絡まるツタが観光客を惹きつけ、写真スポットとして人気だ。 黎さんはコーヒーや特色のある軽食も提供しており、「昔のような没入型観光とは異なり、今の人びとは短時間での滞在を好むため、小さくておしゃれな食事が若者の消費習慣に合っている」と話す。彼女がデザインした古鎮オリジナルのラテアートコーヒーは飲み物の「ヒット商品」となっている。 古鎮にはカフェなどの新しい業態の店舗を開くために故郷に戻った若者もいれば、古鎮の無形文化遺産を守り続ける職人もおり、両者が協力して古鎮の新旧業態の融合を推進している。(c)東方新報/AFPBB News ※「東方新報」は、1995年に日本で創刊された中国語の新聞です。