選挙情報を国民に届けるためにはどうしたらいい?第20回統一地方選挙の知事選データ公開形式の検証(データアナリスト 渡邊 秀成)
選挙が始まる前には、どの候補者が当選するのか、どの政党が議席を増やすのか等の報道が多く流れました。しかし選挙が終了してしまうと、選挙結果からどのような政治が行われる可能性があるのか等の報道が流れることが少なくなります。各候補者、政党が公約した内容がどのように実現していくのかについての報道がなされることも少なくなります。本当に大切なのは選挙前に公約した内容がどのように実現されていくのか、その結果、住民生活がどのように変化するのかです。 選挙前の公約等を逐一チェックするためには、選挙管理委員会が選挙前の選挙公報、選挙結果情報等と、国民、市民が選挙後にも調べられるようにしておくことが大切になります。そして選挙後にも各種情報を調べやすくするためには、どこの選挙管理委員会の選挙関連情報も検索、並び替えが可能な同一形式で保存されることが望ましいです。 総務省も「統計表における機械判読可能なデータの表記方法の統一ルールの策定」をして、利活用しやすいデータ作成基準を公表し、そのガイドラインに沿ったデータ形式を作成するように呼びかけています。しかしながら実際には各選挙管理委員会ごとに異なる形式で選挙結果情報が公開されています。 今回は第20回統一地方選挙(知事選)データを、各道府県選挙管理委員会がどのような形式で公開していたのか?そして同一情報にもかかわらず、選挙管理委員会ごとにデータ公開形式がどのように違っているのかについて個別具体的に観察をしていきます。選挙に関する情報は民主制の過程における重要な情報の一つです。このような重要な情報は永続的に保存をして、これから先を生きる人々が検証可能にしておくことが何よりも大切になります。 そこで今回は選挙管理委員会ごとのデータ形式が、どれほど異なるのか?データ形式を統一をすればどのように利便性が向上するのかについて観察します。
全国一律の表形式で見やすく、検索しやすく
統一地方選挙で北海道選挙管理委員会、神奈川県選挙管理委員会の投票結果表について比較をします。 これらは同じ情報であるのに、選挙管理委員会ごとに表形式が異なります。これら同一情報については、全都道府県、全市区町村で統一形式でデータ作成をすることで、情報の一覧性、検索性が向上します。 選挙情報は個々の自治体情報でありますが、全国民、全住民の情報でもありますので、全国一律のデータ形式で公開されることが望まれます。これまでは情報を公開しておけば良いという段階だったのかもしれませんが、今後は公開された情報の利活用がしやすい形態までを含めた情報公開が必要となります。 そのためにはデータ利活用を促進するためにPDF形式、セル結合を多用したエクセルデータ等は避けるべきです。今まで利用してきた方法を変えることは官公庁内において責任問題が発生する可能性がでてきます。そのため官公庁組織内において従来通りの業務形態を継続していけば責任問題は生じないのかもしれません。 しかし信頼性のある官公庁データを利用したいという市民、企業等にとっては、データ利活用がしにくいという大問題が発生します。データ利用者がデータ利用する際の工程数をどこまで軽減することができるのか?それを考えたデータ形式で選挙管理委員会はデータ公開する必要があります。 データ利活用に最適化された状態で官公庁がデータ公開をすれば、民間企業、個人等がデータ活用する際にかかる工程数が大幅に削減されます。作業工程数が減ることで、データ解析等の作業の時間を増やすことができます。そのためにはきちんとしたデータを各都道府県選挙管理委員会は公開する必要があるように思います。