人気精神科医が解説 推し活はただの流行ではない 「推し活×ビジネス」成功の鍵は「推しの尊さ」への理解度
いまやすっかり市民権を得た「推し活」。ひと昔前はアニメのキャラクターやアイドルに熱中するのは一部の熱狂的なファンや年代に限られていましたが、「推し活」を公言して楽しむ層も10代から中高年まで広がっています。 精神科医の熊代亨さんは、「『推し活』はただの流行ではなく、私たちの人生を左右するほどの重要な要素」と語ります。 そこで「推し活」心理とはどういうものなのかを分析するとともに、推し活とビジネスの可能性について考えてみます。
【熊代亨 Toru Kumashiro】 精神科医 1975年生まれ。信州大学医学部卒業。 ブログ「シロクマの屑籠」で現代人の社会的適合のあり方やサブカルチャーについて発信。 通称 “シロクマ先生”。 『「推し」で心はみたされる?』(大和書房)など著書多数。
「インスタ映え」の次にやってきた「推し活」
──サブカルに詳しい熊代先生ですが、「推し活」がこれほどポピュラーになったのはどうしてだと思われますか。 熊代 「インスタ映え」が新語・流行語大賞に選ばれたのが2017年。インスタグラムの流行はまさに「自分を見てほしい」という願望の表れです。承認欲求を満たされたい、自己実現したい、ほめられたい……。そういうムードがピークを迎えていました。 そんなインスタバブルがはじけた頃から、徐々に「推し活」が流行の真ん中に出てきました。 「推し活」とは、ほかのファンと一緒にキャラクターやインフルエンサー、作品やアイドルグループなどを応援する活動のことを指します。 そういった誰か、もしくはキャラクターを応援するのが「ファン」ですが、ときには「オタク」とカテゴライズされたりすることもありました。 誰か・何かを「推す」楽しさは知られていましたが、それが一気に大衆化し、「推し活している人はキラキラして楽しそう」というイメージが確立したのがここ数年といえるでしょう。 インスタに象徴されるような、「私」に気持ちが集まる時代から、「推し」という第三者にも気持ちが向かうようになったのが「推し活」の時代です。