【ニューヒーロー列伝】村松栄太
地道な努力が実を結ぶ。18日に終了した戸田で当地初参戦だった村松栄太が7戦で6度舟券に貢献した。 「(2場所前の)津からエンジンの引きが良くて、ペラがうまくはまりました」 予選ラストの3日目12Rで6着に敗れ、デビュー初だった昨年7月の下関以来の優出はお預けに。「気温が上がってペラ調整に四苦八苦した。しっかり合わせてさらに良くできるようにしたい」と猛省。最終日は2、3着と再び好走を演じてその名をアピールした。 A級で活躍中の兄・修二(33)=広島・114期=の影響でボートレーサーへの憧れを抱き、高校卒業後は就職しながら養成所の門をたたき続けた。年齢を考慮して最後と決めた1年間は退職して試験に集中し、4度目で合格。127期生として訓練中に兄がGⅠ初制覇(2020年2月中国地区選手権)の吉報も届いた。希望を胸に20年11月にデビュー。だが、ここまで期別勝率は4点台が最高と厳しい現実に直面した。 「兄は強過ぎる。結果を残している人はそれだけ努力しているから、自分は足りないのだなと思った」 奮起するきっかけとなったのは、兄とともに所属する「五日市グループ」の先輩でSG覇者の山口剛から授かった「遠慮は、やる気がないのと一緒」という言葉だ。「『勝つために、聞きたいことは萎縮せずに話しかけなさい』と。話すタイミングを見計らって、教えていただいています」。取材した戸田では同じ広島支部の松本博昭、その節でVを飾った仲谷颯仁からも助言を乞う姿があった。 「もっとうまくなって稼げるようになりたい。頑張っている姿を見せて先輩や両親に恩返しをしたい」 感謝の思いを力に変えて、大きく飛躍してみせる。(佐野友記) =次回は12月13日に掲載 ■村松栄太(むらまつ・えいた) 1996(平成8)年6月24日生まれ、28歳。広島県出身、広島支部。2020年9月に127期生として選手登録。次走は27日開幕の下関一般戦に出場予定。159センチ、53キロ。血液型A。