英国初の女性財務相、リーブス氏は労働者のための成長経済目指す
(ブルームバーグ): 英国初の女性財務相に指名されたレイチェル・リーブス氏にとって、ガラスの天井を破るのは今始まったわけではない。
サッチャー政権が誕生した1979年に生まれ、サウス・ロンドンで公立教育を受けて育ったリーブス氏は、地元のチェス競技大会で並み居る強豪(ほとんどが私立学校に通う男子)を打ち負かすことに誇りを持っていた。後のインタビューで同氏は「お高くとまった連中が大勢いた」と振り返る。「私は彼らに負けず強い。それを証明してみせたかった」と語った。
そうした意地がリーブス氏(45)をダウニング街11番地に導いた。4日の総選挙で労働党が地滑り的勝利を収めた後、同氏は女性として初めてイギリスの財政運営を任された。
英国で政権交代、スターマー労働党首が首相就任-総選挙で大勝
リーブス氏が保守党政権から引き継ぐ英経済は、成長が鈍く、国内総生産(GDP)の100%近くに相当する債務を抱え、税負担は過去70年間で最も重い。
「私が引き継ぐ試練の厳しさを甘くは見ていない」とリーブス氏は選挙戦が始まって間もない頃、BBCのインタビューで述べている。「難しい決定を下さなくてはならない」と語った。
リーブス氏は自分の提案が多くに歓迎されない政策を含むことを承知している。特に労働党の左派には不評となる覚悟だ。一部のアクティビスト的な党員らは長年続いた保守党の緊縮財政を経て、財政の締め付けを緩め、劣化する公共サービスに資金を投入することを望んでいる。
しかし左派的色合いの強いコービン前党首下での労働党と現在の労働党は違うと、リーブス氏はスターマー党首とともに財界や金融市場に3年前からアピールしてきた。昔から労働党の特色とされている税と支出の政策には戻らないと、安心させようとしてきた。
財務省の4大歳入減である所得税と国民保険料、付加価値税、法人税について、2人はいずれの引き上げも否定。その他の増税を必要とする計画もないとし、債務が時間の経過とともに減少に向かうことを確実にする財政規律を守ると約束している。