しっとりやわらか「手作りツナ」 イタリアンシェフ直伝、家庭で手軽に
缶詰でおなじみのツナは、実は手作りしてもおいしく、スーパーで買ったマグロやカツオの刺し身で簡単にできる。人気イタリアンレストランのシェフ直伝のツナの作り方と、アレンジ料理を紹介する。 ツナ作りを教わりに訪ねたのは東京・代官山にあるイタリアンレストラン「ファロ」。店名は、たき火を意味する。炭火を使い、素材を生かした料理の数々が楽しめる人気店だ。 店内は、炭火台のあるオープンキッチンを囲むように座席があり、温かみが漂う。 「レストランの語源が『回復させる』という意味を持つように、おいしい料理とお酒、楽しい会話で明日への活力が湧くような場でありたいとの思いがあります」 そう語るのはシェフの樫村仁尊さん。過去には、本場イタリアや、名店「リストランテ アクアパッツァ」(東京・南青山)などで経験を積んだ。ファロでは「自家製ツナときゅうり 大根のスパイシーマリネ」など、手作りツナを使ったメニューも提供している。 樫村さんは、「ほかの料理で使った魚の端材を有効活用できるし、家庭では余った刺し身を使ってできるので、おすすめです」と語る。 樫村さん直伝の手作りツナ(水煮)のレシピは、①300ミリリットルの水を沸騰させ②塩9グラムを❶に入れて火を止めて③冷蔵庫で冷やしておいたマグロやカツオの切り身100グラムを熱々の❷に投入して蓋をし、常温になるまで冷ます-という手順。 「魚は、調理の直前に冷蔵庫から出してください。冷たい魚を使うことで、湯の温度が下がり、ゆっくり熱を入れることができます」 熱が通ったツナを食べてみると、やわらかく、しっとりとした食感に驚く。湯温が下がることで低温調理の状態となり、パサつかずに仕上がる。ローズマリーやバジルなどハーブを入れるのもおすすめ。冷めてすぐに塩水に漬けたまま冷凍すれば、2~3週間は保存可能だという。 ツナの調理・保存法といえば、油漬けもある。肉などを低温の油でじっくり加熱し、油に漬けたまま保存する、フランス料理の「コンフィ」という調理法に似ている。冷蔵技術が普及していなかった時代の食の知恵が今に生かされている。 サラダにアレンジ