「居酒屋」バイト不足が止まらない…生み出された「意外すぎる策略」
「人がいない」と嘆く居酒屋
少子高齢化や労働市場の需給のアンバランスなどにより、今あらゆる業界で人手不足が叫ばれている。飲食業界も例に漏れず、特に、ハードな仕事のイメージがある居酒屋の人手不足は深刻だ。飲食業界の専門メディアを運営する筆者が取材で会う居酒屋業態のオーナー達は口をそろえて「人がいない」と嘆く。 【写真】「居酒屋」バイト不足が止まらない…生み出された「意外すぎる策略」 帝国データバンクの調査によると、2024年1月時点で非正社員の人手不足割合は29.9%。業種別では「飲食店」(72.2%)がトップだという。シンクロ・フードの調査でも、40.7%の飲食店の人材が「不足している」、そして雇用形態で最も足りていないのが「アルバイト・パート」となっている。このように、飲食業界の人手不足、特にアルバイトの確保に苦戦していることがデータからもうかがえる。
DXやスポットワーカーでは代替できない価値
こうした状況下で、モバイルオーダーや配膳ロボなどのDXツールによる省人化、その日限りで気軽に働けるスポットワークでシフトの穴を埋めるといった対応をしている店も多いが、根本的解決にはならない場合も。特に居酒屋では接客をウリにした店も多く、時間をかけてしっかりとスタッフを育成し、人にしかできない高度な接客力があってこその店も少なくない。DXやスポットワーカーでは代替できない価値を訴求している場合、やはり採用した人材のスキルを高め、長期的に勤務してもらう必要がある。 そんな中、居酒屋人手不足の突破口となるかもしれない「ある手法」が近年トレンドとなりつつある。
居酒屋が「カフェ」を続々オープン
多くの飲食店が立ち並ぶ新宿の一角に、長い行列がある。 1月、新宿にオープンしたばかりカフェ「Caldo(カルド)」。同店の名物であるパンケーキが話題となり、これ目当てに行列ができる人気ぶりになった。店によると、ピークでは20席の店内に対し1日100人が来店し、着席まで1時間待ちとなることもあるという。 実はここ、居酒屋・バルを展開する株式会社絶好調という飲食企業がオープンした。同社にとって初めてのカフェ業態ながら想像以上の繁盛に嬉しい悲鳴を上げている。 このように、いま、カフェを出店する居酒屋グループが増えている。 ほかにも、五反田のベーカリーカフェ「SAISON(セゾン)」もそうだ。「大衆酒場ビートル」、「うお宿」、「ビストロミヤマス」など、ディナー・アルコール主体の居酒屋やバル業態を主として展開してきた株式会社プロダクトオブタイムが、朝や昼の時間帯がメインのカフェを去年3月にオープンした。 各地で人気のカフェ「ESPRESSO D WORKS」を展開する株式会社ドリームオンも、もともとは居酒屋からスタートした飲食グループだ。居酒屋やワインビストロを運営するかたわら、カフェも同社の主力業態となっている。