「アスベストの会」長野支部が発足 被害者苦しめる潜伏期間の長さ
アスベスト(石綿)被害者らでつくる全国組織「中皮腫・アスベスト疾患・患者と家族の会」(小林雅行会長・会員900人=東京)の長野支部が19日発足し、長野市内で「結成の集い」を開きました。支部発足は全国で22番目。孤立したまま救済策を求めて病院・役所巡りに苦しんできた県内の被害者や家族、遺族が組織的に被害の実情を訴え、助け合うことになります。参加者は「これまでの悔しい思いを、前に進む力に変えて頑張りたい」と決意を固めていました。 【写真】終わらないアスベスト被害 今後迎える高度成長期のビル解体にどう対応
因果関係の特定や証明難しく
古くからビルや住宅、船舶などの断熱・絶縁・保温材などとして広く利用されてきたアスベストは、天然の繊維状の鉱物で極めて微細。吸い込むことで肺がん、悪性胸膜中皮腫などになる恐れがあり、1975(昭和50)年から規制、その後使用禁止になりました。しかしすでに被害が拡大していたため、全国では被害者が数万人に上るとの専門家の指摘もあります。 発症までの潜伏期間が数十年と長いために自覚症状が出て治療が始まった後も、アスベストにさらされた「ばく露」(曝露)の時期や場所、当時の環境などを特定したり証明することが困難なことがあり、救済策を求める患者を苦しめてきました。 「患者と家族の会」は、こうしたアスベスト被害の現状を広く訴えるとともに、救済策や法律的な問題を専門家の助言を得て検討。国などに本格的な対策を求める活動を進めています。これまでに北海道、関東、北陸、関西、四国、福岡など全国21支部を設け、今回長野支部が加わりました。 長野支部結成の集いでは、支部発足を支援してきた患者と家族の会や地元長野の世話人、告知で集いを知った患者や家族、遺族ら20人が参加。長野支部は10人前後で発足を決めました。 同支部はさっそく20日に相談会・ホットライン(電話070-5251-9840)を市内で開設。午前中に相談の電話があり、東海支部事務局の成田博厚さんらが事情を詳しく聴きました。会場開設日以外も当分の間、午前10時から午後6時まで被害者や家族らの電話相談に応じるとしています。