福島県いわき市のザ・ピープル前理事長、故吉田恵美子さんの著書「想いはこうして紡がれる」刊行 紡いた思い、後世に
福島県いわき市を拠点に古着リサイクル活動を先導し、11月17日に67歳で死去したNPO法人ザ・ピープル前理事長の吉田恵美子さんの著書「想いはこうして紡がれる」は、英治出版(東京)から刊行された。副題は「『古着を燃やさないまち』を実現した33年の市民活動を通して伝えたいこと」。昨年7月に膵臓(すいぞう)がんと診断され、自らの死期を悟った吉田さんが市民活動を通じて抱いた次世代につなぎたい思いをつづった。 吉田さんの著書は5部構成。第1章は1990(平成2)年から続けてきた古着リサイクル活動がテーマ。第2章と第3章は東日本大震災と東京電力福島第1原発事故発生後に取り組んだ災害ボランティア活動と、浜通りの耕作放棄地でオーガニックコットンを栽培する事業への思いについて紹介。第4章は変容する地域課題と市民活動について記し、第5章は自らの半生を振り返った。 最後に「地域課題解決への思いを共有する仲間の存在と、活動を通して自分たちの思いを次世代につないでいるという手応えが原動力だった」と記した。
吉田さんの夫稔さん(71)によると、吉田さんは昨年7月に、がんの告知を受けて間もなく原稿の執筆を始めた。稔さんは「妻は古着リサイクルや被災地の復興、フードバンクによる生活困窮者支援など、さまざまな地域課題に向き合ってきた。その思いを形に残したいと、書籍化を急いだ。若い世代に読んでほしいと願っていた」と語った。 当初は自費出版を考えていたが、吉田さんの知人を通じて活動に賛同した英治出版が商業出版を引き受けた。英治出版で編集を担当した広畑達也さんは「多くの人とともに紡いできた吉田さんの思いを、本という名のバトンで多くの読者に届けたい」と話している。 著作は2090円(税込み)。いわき市内の書店で販売している。