ハイテク駆使のマーケットメーカー、債券取引で大手銀の牙城崩す
(ブルームバーグ): シタデル・セキュリティーズやジェーン・ストリートといったハイテクを駆使する米証券会社は、株式市場を制し外国為替市場の一角も占め、商品市場にも参入。ここにきて債券市場にかつてないほど深く食い込もうとしている。
デジタル化と上場投資信託(ETF)ブームの波に乗り、超高速売買を通じ証券を動かし続ける電子マーケットメーカー(値付け業者)は、国債取引で勢力を拡大し、かつては手の届かなかった社債の世界でもついに地歩を固めつつある。
その過程でこうした電子値付け業者はウォール街の大手銀行が支配する領域に踏み込み、顧客関係から取引コストまですべてを流動的にし、市場シェアを奪うとともに従業員を引き抜いている。
ジェーン・ストリートの4月の14億ドル(約2200億円)の起債から、秘密主義で知られる同社のビジネスを垣間見ることができる。関連書類によると、起債で調達した資金はさらなる事業拡大に充てられるとしており、同社は債券、特に国債を「特に成長性の高い」分野として位置づけている。また、ETFビジネスでの優位性に支えられ、同社はクレジット分野のマーケットメーカー番付で急速に順位を上げている。
シタデル・セキュリティーズによると、投資適格社債のマーケットメークを昨年開始して以来、同社の債券サービスを利用する機関投資家数は15%余り増えた。すでに米国債のトップディーラーの一角であるシタデル・セキュリティーズは、ケン・グリフィン氏率いるヘッジファンドの兄弟会社として近く、欧州債と英国債にも進出する。また、ハイイールド・クレジット市場に参入する前に、ポートフォリオトレーディングを始める予定だ。
シタデル・セキュリティーズの債券・クロスアセット・ディストリビューションのグローバル責任者アブ・バブサール氏は、「これは率直に言って、何十年も前に株式で、その後に外為で始まった進化の一部だ。債券市場における技術の進歩を考えれば、こうした商品の提供に新たな参加者が登場するのはごく自然なことだと思われる」と述べた。