宇都宮さん(県立大社会福祉学部3年)が手話通訳者全国統一試験に合格 厚労省「養成モデル事業」の受講学生で全国初【山口】
県立大社会福祉学部3年の宇都宮明香さんが、手話通訳者全国統一試験に合格した。2019年度から始まった厚生労働省の「若年層の手話通訳養成モデル事業」を受講した学生の合格は全国初の快挙という。 同事業は、35歳以下を対象に若い手話通訳者の養成を図っている。厚労省から受託して全国手話研修センター(京都市)が龍谷大で開始した。現在は、全国6大学と四国エリアでも実施。県内では22年度から県聴覚障害者福祉協会(赤井正志理事長)が県立大で講座を開いている。 筆記と実技を課す統一試験を受けるためには、このモデル事業をはじめ手話通訳者養成課程のいずれかを修了するなど一定の基準がある。今年度は同モデル事業を全国で168人が受講し、試験は13人が受けた。宇都宮さんはその中で唯一の合格者。全体では1690人が受験し、合格率は15%の難関だった。 宇都宮さんは愛媛県出身。小学4年の頃、福祉学習で聴覚障害者から手話によるあいさつや自己紹介を教えてもらった経験が原点。「手話は格好いい」と感じた。同大に進学後、手話サークルに所属しながら、講座に参加。最初の1年は手話検定試験2級を目指すコミュニケーション講座を受講。2年目は通訳者講座を受けて昨年12月に統一試験に挑戦し、今月1日に合格が通知された。 21日に同大で伝達式が行われた。赤井理事長は「2年前、受講を始めたときはおぼつかない手話だったが、懸命に学習に励み、全国でも初めて学生で合格して本当にうれしい。今後も技術を磨いて」と手話で激励。合格通知と通訳者証を受け取った宇都宮さんは手話を交えて「手話を覚えて自分の気持ちを伝えられるとうれしかった。障害者の苦しみの実情を知ることができた。社会の役に立てる通訳者になれるよう学んでいきたい」と喜びを伝えた。 社会福祉士を目指しており、手話通訳の資格を生かし、当事者の通院支援なども行いたいという。